『ウィル』がクルマ好きを惹きつける理由【森口将之の『もびり亭』にようこそ 第24回】

公開 : 2026.09.09 12:05

モビリティジャーナリストの森口将之が、モビリティに関するあらゆる話題を語るこのブログ。第24回は、最新の電動車いすについてです。

2012年設立のモビリティカンパニー

WHILL(ウィル)という歩行領域の電動モビリティ(電動車いす)の会社をご存知でしょうか。

自動車メーカーなどにいた若者が、「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」という車いすユーザーの言葉に衝撃を受け、障害のある人や高齢で足腰が弱くなった人が自慢でき、健常者も乗りたくなるパーソナルモビリティを作りたいという思いから、2012年に設立しました。

9月3日に発売されたウィルのモデルCライト。
9月3日に発売されたウィルのモデルCライト。    森口将之

僕は会社設立前の2011年の東京モーターショーでプロトタイプに出会って衝撃を受け、すぐに取材を敢行。2014年にデビューした市販第1号車のモデルAは、審査委員を務めていた翌年度のグッドデザイン賞で、もっとも優れたデザインと認められた1件のみに贈られる、グッドデザイン大賞を受賞しました。

その後のウィルは、ニューモデルを次々に送り出す一方で、販売だけでなく空港や観光地、商業施設などでのモビリティサービスも展開。

さらには自動運転も実現するなど、テクノロジーとサービスを両立したモビリティカンパニーとして、確固たる地位を築いています。

日本より車いす人口が多く、障害のある人への理解度が高い米国を当初から主要マーケットと考えていたことも特筆すべき点で、現在は欧州や東南アジアなどにも進出しています。

そんなウィルから「ニューモデルを発表するので見にきてください」と連絡が来たので、東京品川の発表会場を訪れました。

ウィル最軽量の18.6kg

同社の製品には現在、ジョイスティックで操作するタイプと、ハンドルで操作するタイプがあります、前者はモデルC2とモデルF、シニアカーと呼ばれるカテゴリーに入る後者はモデルRとモデルSがあります。

そこに今回加わったのが、9月3日に発売されたこのモデルCライトです。

左右のパネルは違う色に交換可能。
左右のパネルは違う色に交換可能。    森口将之

フラッグシップであるモデルC2のコンセプトを受け継ぎながら、バッテリーなしで18.6kgと、ウィル最軽量を実現し、折り畳みもできるようにしたものです。

価格は46万8000円から。福祉用品なので非課税で、介護保険を使ってのレンタルもあります。

実車は写真でもわかるとおり、とにかくスタイリッシュです。これはウィルの製品全般に言えることで、それまでの車いすのイメージを変えたと言えるデザインは、たしかに健常者の僕も使いたくなります。

左右の斜めの長円形パネルのおかげで、ひと目でウィルとわかるのもポイント。ブランドのアイデンティティをしっかり確立しています。

ちなみにここのパネルは変更可能で、好みの色を選ぶことができるし、着せ替えも可能です。

日本人は欧米に比べると、車いすを利用することに引け目を感じる人が多いそうですが、これならむしろ自慢できるんじゃないでしょうか。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。

森口将之の『もびり亭』にようこその連載

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