生命感を与える6速MT ポルシェ911 GT3ツーリングと過ごした4週間(2) ハイエンドスポーツとして際立つ軽さ ボディを貫く1本の硬い芯 

公開 : 2026.10.14 18:10

不快な突き上げ感や硬さは殆どなし

ツーリングを冠する911 GT3だけあって、グレートブリテン島から南フランスまでのクルマ旅も、理想的な体験となった。何より、乗り心地が秀抜。英国の舗装はフランスより荒れ気味といえるが、不快な突き上げ感や硬さは最後まで殆どなかった。

とはいえ高速道路を飛ばすと、トップギアでも3500rpmに届く。PDKなら500rpm落とせるかもしれないが、実際の燃費は平均で8.0km/Lといったところ。64Lのタンクで、480kmほどしか走れない。左ハンドル仕様と同じ、90Lタンクが欲しくなる。

絶景を楽しめるワインディング、南フランスのコル・ド・レスピグリエ峠
絶景を楽しめるワインディング、南フランスのコル・ド・レスピグリエ峠

バケットシートは選ばなかったが、それが残念とは思わない。着座位置はもう少し低くていいが、控えめな容姿のホモロゲ・スペシャルのような仕上がりに調和している。

夏の南フランスでは特にだが、ラジエター直後に位置するフロントの荷室は、走り続けると想像以上に高温になる。リヨンを出発しマルセイユへ着いた頃には、積んでいたフジのカメラが驚くほど熱くなっていた。お土産のチーズならドロドロだ。

主張しすぎないボディを貫く1本の硬い芯

スポーツやトラック(サーキット)・モードは、メーター用モニターを見ながらカスタマイズし、ステアリングホイール上のダイヤルで素早く選べる。レブマッチ機能は、神の手といえるほど有効。同時に、ペダル配置はヒール&トウに理想的でもある。

運転支援システムは高度で、ハンズオフで高速道路を巡航できる。ドライバー監視機能は、アナログな雰囲気のキャビンには似合わないかも。

ポルシェ911 GT3ツーリング(992.2型/英国仕様)
ポルシェ911 GT3ツーリング(992.2型/英国仕様)

GT3の特別さは、普段使いでも堪能できる。他の911より遥かに鋭敏で軽快。大型化し洗練され、グランドツアラーのように進化した911の中にあって、GT3は一線を画す。

日常性を重視するなら、PDKという選択もアリだろう。落ち着きのある乗り心地は褒められ、後席は広々とした荷室になる。カレラSと比べても、妥協は小さい。それでいて、主張しすぎないボディの内側を、鋼のように硬い芯が1本貫いている。

ポルシェ911 GT3ツーリング(992.2型/英国仕様)のスペック

英国価格:19万9157ポンド(約4142万円/試乗車)
全長:4573mm
全幅:1852mm
全高:1279mm
最高速度:312km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:7.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1486kg(実測)
パワートレイン:水平対向6気筒3996cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/8500rpm
最大トルク:45.8kg-m/6250rpm
ギアボックス:6速マニュアルク/後輪駆動

ポルシェ911 GT3ツーリング(992.2型/英国仕様)
ポルシェ911 GT3ツーリング(992.2型/英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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