電力を得たジャイアントキラー ポルシェ911 ターボS(1) カレラGTS譲りの3.6Lフラット6 アナログとデジタルが理想的に共存

公開 : 2026.09.03 18:05

992.2型でT-ハイブリッドを得た『ポルシェ911 ターボS』は、3.6Lフラット6と駆動用モーターで711psへ上昇。高度なシャシー技術が相乗し、実力を高めたジャイアントキラーです。UK編集部が試乗します。

すべてを高次元で実現した無二の存在

300km/h超えのスーパースポーツでありながら、根底にある多能性と親近性。これぞ、1975年からポルシェ911 ターボが築き上げてきた、孤高のアイデンティティだろう。

実のところ初期の930型911 ターボは、その危うさから「ウィドウメーカー」、未亡人製造機と呼ばれることもあった。しかし1995年に、四輪駆動を採用した993型が登場。究極のスポーツカーという印象を、深く刻むに至った。

ポルシェ911 ターボS(992.2型/英国仕様)
ポルシェ911 ターボS(992.2型/英国仕様)

911シリーズの中で、最も強力で高速なだけではない。公道やサーキットでは出色の走りを披露し、大陸横断級の長距離ドライブも快適にこなせる。季節を問わず、普段の足としても活用できる。このすべてを高次元で実現する、無二の存在になってきた。

そんな911 ターボは、アップデートを受けた992.2型の「S」で、遂に「T-ハイブリッド」が実装された。他の911とは一線を画す、高濃縮のハードウェアに。

3.6Lフラット6と8速PDKの間に駆動用モーター

エンジンは、911 カレラGTSと同じ3591ccの水平対向6気筒。前期の992.1型では3745ccだったから、僅かにシリンダーボアは縮小している。ピストンは強化品で、バルブの駆動系には911 GT3と同じ技術が採用される。

そのエンジンと8速デュアルクラッチATの間には、82psと19.1kg-mをアシストする駆動用モーターを搭載。フロントの収納空間の背後に、水冷されるNMCセルの駆動用バッテリーが隠れている。

ポルシェ911 ターボS(992.2型/英国仕様)
ポルシェ911 ターボS(992.2型/英国仕様)

2基のターボはGTS用ユニットより小型で、内蔵される電気モーターがレスポンスを補完。その結果、最高出力は6500-7000rpmという広い領域で、711psを達成。81.4kg-mの最大トルクは992.1型と同値ながら、発生領域は2200rpmぶん広がった。

これを受け止めるブレーキは、セラミックコンポジット・ディスク。直径は前が420mm、後ろが410mmあり、歴代の911では最大級となる。

専用チューニングのサスにワイドなボディ

T-ハイブリッドが稼働する電圧400Vのシステムを活かし、高速に反応する電動油圧制御のPDCC(ポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロール)も実装。アクティブ四輪駆動システムには、リアに電子制御ロックデフが与えられた。

コイルスプリングが支えるサスペンションには、専用調整のPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント)が標準装備。車高が落ちるスポーツ・サスも、オプションで用意される。取付部分やクロスメンバーも、強化されている。

ポルシェ911 ターボS(992.2型/英国仕様)
ポルシェ911 ターボS(992.2型/英国仕様)

911 ターボらしく、ボディはワイド。通常のカレラ比で、フロントフェンダー部分は45mm、リアフェンダー部分で20mm幅が広い。リアタイヤの幅は、992.1から10mm広がり、325となった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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