「100万人の命を救った男」 横滑り防止装置の開発者をインタビュー

公開 : 2017.10.14 18:10

物事は、思ったとおりに進まない

Aクラスの横転を機に、それまで最高級モデルのための新技術であった横滑り防止装置を全てのモデルに適用する前に、最も安価なモデルに装着することにしたのだ。

しかしこの直後、メルセデスはこの新しい技術の特許を自社のサプライヤーに対して、一銭の対価を得ることもなく譲渡してしまったのだった。

自動車業界においては、エンジニアによる発明の権利は彼らを雇用する自動車メーカーが握っているのである。

メルセデスは需要に対してこの新たな横滑り防止装置を十分な量、迅速に供給することができなかったために、ノウハウを他社に譲渡し、さらには彼らがこの技術を自分達のライバルカーメーカーに販売することまで許可したのだった。

しかし、10年も経たないうちにドイツ当局は横滑り防止装置を装備した車両一台当たりの死亡者数が減少していることに気付いた。専門家によれば、これまでに横滑り防止装置によって救うことができた命は全世界で100万人を越える。

現在ほとんどの先進国で横滑り防止装置は義務化されており、最も安価な新車にすら装備されている。

多くのドライバーが当然と考えている、陰で黙々とわれわれを助けてくれる横滑り防止装置に敬意を表するため、われわれはこの歴史を変えた技術が生まれた事故現場を探しだすべくスウェーデンを訪れた。

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