発表前に開発中止になった21台のクルマ 前編

公開 : 2018.08.26 06:10  更新 : 2021.03.05 21:43

BMW 767iL(1987年)

1980年代終盤、BMWは7シリーズより上位に位置するモデルの導入機会をうかがっていた。目指したのは、ラグジュアリーな装備を満載し、強力な16気筒エンジンを積む堂々たるフラッグシップ。1987年7月、技術陣は開発に着手した。

アドルフ・フィッシャー指揮の下、5.0ℓV12に4気筒を加えるかたちで産み出された6.7ℓV16は、最もベーシックな仕様で414psを発生した。12気筒より30cmほど長いパワーユニットを収めるべく、ラジエーターはフロントから排除され、代わりにボディ後端のトランクルームを潰して小型のものが2基装着。そこへ外気を導くべく、左右のリアフェンダーにエアダクトが穿たれ、GFRPのスクープが取り付けられた。

BMWはこのプロトタイプに767iLの名を与え、テストも行なったが、首脳陣のプロジェクト継続に対する結論はノー。V12を上回るエンジンは不要とみなされたのだ。これとほぼ同時期に、ダイムラー・ベンツはメルセデスのW18エンジンを、同じ理由で葬り去っている。

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