マツダMX-5 英霊記念レースに参戦してみた 退役軍人たちの走りは

公開 : 2018.12.02 18:40

別のマシンでレース復帰

はたして、われわれのレースの道は完全に閉ざされたわけではなかった。翌日、ミッション・モータースポーツ本部はほかのクルマでレースを続けられるようにしてくれた。与えられたのはホンダCR-Vの、オートマティックのディーゼル車だったが。

そのクルマでまたコースをおじゃま虫のように滑り回ることになったのだが、そうしているうちに、わたしの四半世紀におよぶレース歴でこの英霊記念レースが後にも先にももっともかけがえのないものに思えてきた。わたしが仮にF1レーサーだったとしても、同じような気持ちを抱けたら良いだろうなとも。

レースが命を救ってくれたとリアムがいったことには深くうなずけるし、ほかの参加者だって多かれ少なかれおなじ気持ちだろう。彼ら退役軍人にとっては、おおきく見える体の傷など問題ではないほどに深い心の傷をかかえていることが今回あらためて見てとれた。

別のいい方をしよう。世界有数の精鋭部隊にいたアンディは、一転不便な暮らしを強いられる身となった。同時にそれまでの全人生の証も、6つのゴミ袋行きとなってしまった。彼は昨年、この英霊記念レースではじめてレースを体験した。いまは幸せな家庭を構えるいっぽうで、資格を生かして心の病をもつひとびとの世話をする仕事についている。

そこで、さいごに彼にひと言贈りたい。「わたしがここまで来られたのも、英霊記念レースのおかげです」大切なレースどころではない。まさに「救いの手」だ。

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