ロマンチックな4シーター・コンバーチブル マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(1) ディテールはMCエクストレーマの影響

公開 : 2026.08.07 18:05

2026年仕様となったマセラティ・グランカブリオ。トロフェオは590psへ上昇し、イタリアン・コンバーチブルへ相応しい音響体験を獲得。フォルゴーレは航続距離を817kmへ伸ばしました。UK編集部が試乗します。

小改良でフォルゴーレは航続距離を817kmへ伸長

2026年仕様のモデル発表会で、マセラティは芸術性の高い動画を上映した。「ボリュームの大きさが存在感の大きさだと勘違いされる世界にあって、われわれは主張を強めることはありません」というキャッチコピーとともに。

数をさばくライバルは、最高出力や駆動用バッテリーの容量、ニュルブルクリンクのタイムなど、数字的な競争を繰り広げている。一方でイタリア・モデナの同ブランドは、洗練され思慮深い姿勢を貫いている、と訴えたかったのかもしれない。

マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)
マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)

2022年に世代交代した、2ドアのグラントゥーリズモとグランカブリオは、SUVのマセラティ・グレカーレとともにアップデートを受けた。今回試乗したのは、後者のロマンチックな4シーター・コンバーチブルだ。

英国では、2ドアのきょうだいは3年間に約200台しか売れていない。だが今回の更新で、バッテリーEV版のグランカブリオ・フォルゴーレは、航続距離が817kmへ5割伸びている。販売を後押しするはずだが、ネットゥーノ・ユニットを積むトロフェオも魅力的だ。

低いボンネットから続く妖艶なショルダーライン

プラットフォームは、電動パワートレインも想定し、複数の金属を採用した専用開発。全長は4966mm、全幅は1957mmもあり、コンバーチブルとしてはかなり大きい。

スタイリングは、低いボンネットから続くショルダーラインが妖艶。スモーククローム・トリムが、全体に締まりを与える。2026年仕様では、MCエクストレーマの影響を受けた、シャープなフロントグリルやバンパー、ワイドなホイールを得ている。

マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)
マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)

グランカブリオが積む3.0L V6ツインターボエンジンは、490psか590psを発揮する。クーペからシャシーは強化されているが、重量の増加は100kgに抑えられた。

EVのフォルゴーレは3モーターで総合760psが主張され、バッテリーのケースが剛性を担い、補強は施されていない。どちらも四輪駆動で、サスペンションはアダプティブダンパーとエアスプリングが組まれる。

大人2名が問題なく座れる上等なリアシート

実のところ、リアシートは雰囲気重視の場所ではある。ソフトトップを降ろせば風の巻き込みが激しく、空間も広々とはしていない。市街地を出たら穏やかな会話は難しく、帽子は簡単に彼方へ飛んでいく。コースを突っ走る、ジェットコースターのように。

ベントレーメルセデスAMGも、リアシートを備えるコンバーチブルを擁するが、事実上は2+2。後席は、あくまでも短距離移動の非常席という位置付けにある。

マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)
マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)

それでも、例外的に本格的な4シーターとして、グランカブリオの訴求力は低くない。前席の後ろには、大人2名が問題なく座れる上等なシートが据えられている。

4名で移動するなら、51km/hまで走行中でも15秒で開閉できる、電動ソフトトップは閉めればいい。クローズ状態では乗降性が悪くなるが、閉じ込められたような印象も薄い。しっかり4シーターとして使えることは、強みといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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