マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(2) アクセルを踏み込めばイタリアン・マフィア級のワイルドさ トンネルが待ち遠しい

公開 : 2026.08.07 18:10

2026年仕様となったマセラティ・グランカブリオ。トロフェオは590psへ上昇し、イタリアン・コンバーチブルへ相応しい音響体験を獲得。フォルゴーレは航続距離を817kmへ伸ばしました。UK編集部が試乗します。

イタリアン・コンバーチブルへ相応しい音響体験

2026年仕様として、アップデートを受けたマセラティ・グランカブリオ。エンジンは3.0L V6ツインターボ「ネットゥーノ」の1択で、最高出力はベースグレードが490ps、トロフェオでは40ps増しの590psが主張される。

試乗したトロフェオが得た変更で注目すべきは、センターサイレンサーが消え、パイプのルートも改められた新エグゾースト。英国価格17万ポンド(約3655万円)のイタリアン・コンバーチブルへ相応しい、音響体験を狙ったアイテムといえる。

マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)
マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)

先代へ搭載されていた、自然吸気の4.2L V8エンジンの興奮をV6ユニットで再現することは、簡単なことではない。だが、心を震わせるシンフォニックさを獲得している。

大径パイプで構成され、排気干渉を生む設計へ変更も受け、技術者は許される限りの音量を目指したと主張する。かくして、グランカブリオの刺激強化へ成功している。

中域では威圧的に、高域では甲高くドライバーを鼓舞

ノーマル・モード時の響きは控えめ。アイドリングで特有のビートを刻み、変速時にはボフッとひと吠えするけれど。しかし、スポーツ・モードでアクセルペダルを踏み込めば、イタリアン・マフィア級のワイルドさが顕になる。

2000rpmを過ぎた辺りでブーストが上昇し始めると、溢れるパワーとともに興奮度も上昇。中域では威圧的に、高域では甲高く、ドライバーを鼓舞する。シフトパドルを弾き8ATを操れば、強烈な破裂音。子供っぽいとしても、トンネルが待ち遠しくなる。

マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)
マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)

加速力は、本気でも背中がシートへ押し付けられるほどではないが、グリップとトラクションに優れ不満なく速い。電子制御リミテッドスリップ・デフ付きの四輪駆動システムは、前後のトルク割合をドライブモードで変化。確かなトラクションが頼もしい。

8速ATの仕事ぶりは、平時は至って穏やか。もう少し、変速速度は早めても良いだろう。ちなみに、ベースグレードにはカントリーモードが追加され、路面の凹凸へ備えて、120km/hまでは車高を20mm持ち上げられるようになった。

速度域の高いルートで光るGTとしての能力

小変更を経て、走り自体に大きな変化はない。身のこなしは充分鋭く、乗り心地は快適で、充足度の高い運転体験へ興じれる。ドライバーを陶酔させる一体感は伴わないとしても、速度域の高いルートではグランドツアラーとしての能力が光る。

サスペンションは柔らかめで、ボディは小さくなく、連続するカーブを積極的に駆け抜けるタイプではない。ドライブモードを引き上げても、敏捷性が増すわけでもない。しかしステアリングは、僅かに人工的な感触があるものの、適度な重み付けで正確だ。

マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)
マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(欧州仕様)

乗り心地は、稀に入力をゴツゴツ伝える場面はあっても、ノーマル・モードならしなやか。スポーティなモードでは、明らかに突き上げ感が増してしまう。

コンバーチブルとして剛性は高められているが、ハードなドライブモードでは特に、バックミラー越しにボディが僅かに歪む様子がわかる。フロントウィンドウのフレームと、リアシートのヘッドレストが、異なるリズムで震えるからだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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