「英国最高」の宅配ドライバー 82歳の元タクシー運転手 まだまだ現役

公開 : 2019.02.16 17:50  更新 : 2019.06.11 18:47

お気に入りはキャバリエ まだまだ現役

ブライアンのベクトラに対する不信感は、トランクに積まれた工具ボックスが証明しているが、それ以外にも、非常用食料としてキャドバリーの飲むチョコレートと、フラスコ瓶、それにベニリンの咳止め薬が入っていた。「これなしではどこにも行きません」と彼は言う。

ヒルマン・ハンター、アヴェンジャー、フォード・コンサルとフォード・コルチナといったモデルを運転してきたブライアンだが、そのなかの1台は14万8000kmで手に入れ、53万1000kmで売却している。


「ウェットコンディションでのコルチナは危険なクルマでした」と彼は言う。「いままで運転したなかでは、キャバリエが最高のモデルです。このクルマであればどこにでも行くことができます」

ブライアンは宅配ドライバーが単に先を急ぐことしか知らないと思われているのを忌々しく思っている。「つねに安全運転を心がけています。前走車との間には十分な車間距離を確保するとともに、周囲の状況にも注意を怠りません。数年間救急医療チームのドライバーを務めたことがありますが、緊急出動の際には速度制限も守る必要はありませんでしたが、この経験が周囲に注意を払うことの重要さを教えてくれたのです」

だからこそ、最近ブライアンが制限時速48km/hの道路を10km/hオーバーで走行したとして違反切符を切られたと聞いたときは驚いた。「速度超過はしていませんでした」と彼は言うが、「でも、証明することができないのです」と力なく続けた。

だが、ブライアンは間違いなく英国最高の宅配ドライバーであることは証明している。

クラッチの焼ける臭いが漂うなか、ソワービー・ブリッジの目抜き通りを慎重に進みつつ、チキンのカレー炒めがシートから落ちないように片腕を伸ばしているこの英国最高の宅配ドライバーが引退する日はまだまだ先のようだ。

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