【EVという条件抜きで優れている】フォルクスワーゲンID.4 プロトタイプへ試乗

公開 : 2020.09.11 10:20  更新 : 2021.02.02 18:48

必要以上に活発なほどトルクフル

バッテリーはフロアに敷き詰められている。シートの位置は高いが、それほど顕著でもない。フロアは完全にフラットだ。

車内は広々で、ティグアンより後部座席の足元にはゆとりがある。リアシートは40:20:40の分割で倒せ、実用性も高そうだ。開口部はやや高い位置にあるが、荷室も使いやすいだろう。

フォルクスワーゲンID.4 77kWh プロトタイプ
フォルクスワーゲンID.4 77kWh プロトタイプ

スターターボタンを押して、セレクターを回す。1段階回すと通常のドライブ・モードに入り、2段階回すと回生ブレーキを積極的に用いるバッテリー・モードになる。

ID.3で採用するコントローラーと同じもの。乗り始めからわかりやすい。

ほかに、エコ、コンフォート、スポーツ、インディビジュアルを選べるドライブ・モードがある。ステアリングやアクセルペダル、パワートレインやアダプティブ・ダンパーの設定を変えられる。

今回試乗したID.4は、最もパワフルな230psの後輪駆動。スロットルを軽く倒した瞬間から、31.6kg-mのトルクがタイヤへ伝わる。レスポンスもトラクションも、素晴らしい。

進み始めると、一定の加速度で速度を高めていく。正直、必要以上に活発だ。

高速道路の巡航速度になると、加速の勢いには少し陰りが出てくる。そのかわり、静かでリラックスした運転を味わえる。

後輪駆動モデルの最高速度は、160km/hでリミッターがかかる。フォルクスワーゲンは、まだ動的性能について数字を明らかにしていない。

通常のドライブ・モードでは、アクセルペダルを離すと、回生ブレーキを少し効かせながら惰性で進む。バッテリー・モードを選べば、ブレーキペダルに触れる必要はなくなる。

実用性も走りも優れた、違和感なく乗れるSUV

20km/hくらいから、歩行者へ近接を知らせる人口音が消え、ID.4はほぼ無音で走る。一番目立つのは、オプションの21インチ・タイヤが生むロードノイズ。ドアミラー付近からの、風切り音も聞こえてくる。タイヤの銘柄は、ブリヂストンのトランザだ。

走り味は、とても好印象。レシオの設定が良いステアリングは、重み付けも良く、路面からの情報を驚くほど多く手のひらに伝えてくれる。最小回転直径は10.2mと小さく、都市部での扱いやすさも、機敏さも、抜群に良い。

フォルクスワーゲンID.4 77kWh プロトタイプ
フォルクスワーゲンID.4 77kWh プロトタイプ

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。試乗車には、オプションのアダプティブ・ダンパーが付いていた。

操縦性は、後輪駆動らしい滑らかさがある。秀逸な横方向の姿勢制御は特長の1つ。スポーツモードでは、優れたグリップ力とトラクションを生かした走りが楽しめる。

21インチの扁平タイヤにも関わらず、コンフォート・モードでの乗り心地も、充分に納得できるものだった。技術水準の高さを感じ取れる。

日常的に利用できる純EVを考えているなら、フォルクスワーゲンID.4は、有力候補の1台に加えるべきだろう。実用性も走りも優れた、違和感なく乗れるSUVだ。航続距離も不足はないはず。

価格は未定だが、英国の場合は補助金適用後で、3万3000ポンド(462万円)程度になる見込み。フォルクスワーゲンID.4は純EVだけでなく、コンパクトSUVというカテゴリー全体に与えるインパクトも、大きいのではないだろうか。

フォルクスワーゲンID.4 77kWh プロトタイプのスペック

価格:3万3000ポンド(462万円/予想)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:−
航続距離:515km
CO2排出量:−
乾燥重量:−
パワートレイン:AC誘導同期モーター
バッテリー:77.0kWhリチウムイオン
最高出力:203ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション

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