【EVという条件抜きで優れている】フォルクスワーゲンID.4 プロトタイプへ試乗

公開 : 2020.09.11 10:20  更新 : 2021.02.02 18:48

フォルクスワーゲン製の純EV版SUVとして最初のモデルとなる、ID.4。技術や品質、実用性などはブランドのイメージ通り。完成前の試作車は、すでに成功の二文字が見通せる仕上がりのようです。英国編集部が評価しました。

重要な市場に大きなインパクトを与える

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
「電気自動車が、世界的にこれほど強い見通しを持つとは、以前までは考えられませんでした」。フォルクスワーゲンの新CEO、ラルフ・ブラントシュテッターがID.4の発表にあわせて語った。彼は新しい市場をリードするという、野心的な思いにあふれている。

フォルクスワーゲンの純EV用サブブランド、ID.として2番目のモデルは、世界で最も成長の大きいSUV。ドイツのツヴィッカウ工場を皮切りに、3つの大陸の、5か所の工場で生産される、グローバルモデルだ。

フォルクスワーゲンID.4 77kWh プロトタイプ
フォルクスワーゲンID.4 77kWh プロトタイプ

英国でも2020年の末には発売が始まる予定。今回は生産版に近い、試作版ID.4の試乗機会を与えてくれた。

「ID.4は、欧州と中国、北米という最も重要な市場において、大きなインパクトを与えるでしょう。かなりの台数を見込んでいます」。と、ブラントシュテッターが話す。

2025年までに、年間150万台の純EVを販売するという目標を掲げる、フォルクスワーゲン。ID.4は、その鍵となるモデルだ。アウディQ4やシュコダ・エンヤクックなど、次期モデルのベースともなる。

コンパクト・ハッチバックのID.3と同様、土台とするのはEV用のMEBプラットフォーム。後輪駆動と四輪駆動が用意され、2種類のバッテリー容量が選べる。

当初登場するのは、148psと170ps、175ps、230psの4段階の最高出力が設定された、後輪駆動モデル。馬力の低い2モデルには52kWh、馬力の高い2モデルには77kWhの、リチウムイオンバッテリーが搭載される。

175psの後輪駆動で航続距離は519km

ベースグレードでは、50kWの充電器に対応。オプションとして、52kWhのバッテリーの場合、100kWまで、77kWhは125kWまでの充電器に対応できる。最もパワフルな充電器につなげば、どちらも約30分で320kmぶんの電気を充電できるという。

2021年には2種類の四輪駆動も登場する。そちらには77kWhのバッテリーと、2基のモーターが搭載される。小さなフロント・モーターとメインのリア・モーターが搭載され、265ps版のほか、トップグレードのGTXでは306psを獲得する見込み。

フォルクスワーゲンID.4 77kWh プロトタイプ
フォルクスワーゲンID.4 77kWh プロトタイプ

フォルクスワーゲンによれば、77kWhのバッテリーを積む175psの後輪駆動モデルの場合、WLTP値で519kmの航続距離を実現しているという。

ちなみに、64kWhのバッテリーを積むヒュンダイ・コナ・エレクトリックの航続距離は484km。62kWhのテスラモデルYでは、540kmとなっている。

今回試乗したプロトタイプは、軽い偽装が施されているが、基本的には2017年に発表されたID.クロス・コンセプトのデザインに近い。クロスオーバーらしい雰囲気と、純EVらしいプロポーションを備えた、モダンな見た目だ。

空気抵抗にも優れ、Cd値は0.26。SUVとしてはかなり優れている。

運転席側のドアが大きく開く。ボディと同色に塗られた高いサイドシルをまたいで、ID.4に乗り込む。

フラットな造形のダッシュボードには、5.3インチのメーター用モニターと、10.0インチのセンターモニターが備わる。オプションで、センターモニターは12.0インチに大きくできる。拡張現実を利用した、ヘッドアップ・ディスプレイも選べる。

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