【喜びを追求したスーパー・シリーズ】マクラーレン765LTへ試乗 765ps 前編

公開 : 2020.10.14 11:20  更新 : 2020.10.14 12:33

マクラーレンの新型車「765LT」に試乗。720Sに鋭さを加え、「セナ」の技術を投入。サーキットのタイムだけでなくドライバーへの訴求力も高めています。一般道での評価は叶いませんでしたが、秀でた実力が伺えます。

もくじ

3番目となるロングテール版
セナより30kg重く、34ps及ばないだけ
首の筋力が試されるほどの旋回速度

3番目となるロングテール版

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
マクラーレンのスーパー・シリーズと呼ばれるモデルレンジに追加された、最新の765LT。ロングテール(LT)化されたマシンが、ブランドの重要なタイミングで登場した。

マクラーレンは、プラグイン・ハイブリッドを採用した新しい量産モデルの準備を進めている。カーボンファイバー製のタブシャシーを用意して。荒波のような変化を無事に乗り越えることができれば、ブランドにとって次の時代が間もなく始まる。

マクラーレン765LT(英国仕様)
マクラーレン765LT(英国仕様)

新時代へシフトする前に、マクラーレンは宝石のような素晴らしいモデルを作り上げた。これまでの10年間で磨かれた、輝かしい技術力を記念するようでもある。

765LTは、ロングテール版モデルとしては、3番目に位置する。スーパー・シリーズで得られるドライビング体験のすべてを盛り込み、壮観なまでな高みへと昇華させた、驚くべきモデルだ。

英国ウォーキングの街で作られてきた、カーボンファイバー製のタブシャシーとV8ツインターボエンジンから、最後のひとしずくと言える、ダイナミクス性能を絞り出すことに成功している。バッテリーとモーター、充電ソケットが次の時代を受け継ぐ前に。

マクラーレンがこれまで取り組んできた技術開発、それに投じた頭脳や費用は、膨大なものだといえる。スーパー・シリーズのラインナップ以上といっていい。

セナより30kg重く、34ps及ばないだけ

完成された720Sというスーパーカーから車重を削り動的性能を引き上げ、サーキットでのタイムを短縮するということは、難しい仕事に違いない。すでに軽量で速い、狙い通りのロードカーなのだから。

マクラーレンは、チタン製のホイールナットや車内のカーペットなど、細部に至るまで徹底的に見直した。結果、765LTはベースモデルから最大で80kgもの軽量化を達成できている。

マクラーレン765LT(英国仕様)
マクラーレン765LT(英国仕様)

もっとも、大人1人分以上軽くするには、追加費用が必要。軽量なボディパネルを装備し、エアコン、ラジオなどを省かなければならない。快適装備は残して、すべてのボディパネルや空力的な機能部品をカーボンファイバーに置き換えることもできる。

ウインドウモールは、720Sより0.8mm薄い。車重はサーキットスペシャル、マクラーレン・セナより、30kg重いだけ。最大トルクはセナと同値。最高出力は、わずか34ps及ばないに過ぎない。

スペックシート上は、フェラーリF8トリブートを凌駕する。V型12気筒を搭載したランボルギーニ・アヴェンタドールSVJに馬力で迫り、しかも車重は300kg近く軽い。

マクラーレンは、765LTとセナとの関係性を、あまり主張したくはないようだ。実際は、ハンドメイドのカーボン製ブレーキディスクや特注のキャリパー、彫りの深いカーボン製バケットシートなどを、セナから拝借している。

V8エンジンの軽量なピストンとコンロッドも、セナ譲り。ピレリ・トロフェオRという公道も走れるサーキット用タイヤも、セナと同じ。AUTOCARの読者には、お教えしておこう。