【おかわり問題ってなに?】EVで四国遍路 8000km走破/88回充電で感じた3つの課題

公開 : 2021.05.06 05:45  更新 : 2021.05.07 19:20

四国お遍路をEV 4車種で実施。身体を張って? 8000km走行、88回充電で感じた3つの課題を紹介します。

もくじ

EV 4車種で四国遍路を巡る
充電スタンド数だけではない充電インフラ問題
「おかわり充電」SNSで話題のマナー問題
EV充電に関する勘違いとリテラシー問題

EV 4車種で四国遍路を巡る

text:Satoru Uno(宇野智)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

2021年1月、菅首相が「2035年までに、新車販売の100%を電動車にする」と語り、自動車業界のみならず、大きな波紋を広げた。

これを受けて筆者は、自動車の電動化を進めていくにあたり、現在の状況や問題点、今後の課題などを調査、取材を進めていくことにした。

ホンダe
ホンダe

まず痛感したのは、自動車の電動化についての興味関心をもつ人がまだまだ少ないということ。

日本は「SDGs後進国」とも揶揄され、諸外国に比べ環境問題、エネルギー問題などなどへの意識が全体的に低いといわれている。

筆者は「EV 4車種で四国遍路を巡る」というタイトルで、あまり自動車の電動化に興味関心がない人にも身近に感じてもらえるように、長距離試乗を企画した。

この企画は、全4県(4道場)を各1車種ごとに巡っていくもので、東京から四国までから四国各県での充電状況、電費をすべて記録し、現状の問題点と今後の課題を確認していくものである。

本記事では、この企画を通じてとくに顕著に感じた問題や課題についてまとめてレポートする。

ちなみに、試乗した車種は、徳島県が日産リーフ・ニスモ、高知県がマツダMX-30 EVモデル、愛媛県がホンダe、香川県がプジョーe-208。

車両価格は400万台のEVとしては価格レンジが低いモデル、車両価格を大きく左右するバッテリー容量は大きくない35.5-50kWhの仕様のもので車種選定をした。

走行距離は合計約8000km。1県あたり約2000kmの走行(東京~四国間の往復と、各県内の札所を順番に巡っての走行距離)となり、充電回数は合計88回となった。奇しくも四国遍路の札所数と同じとなった。

この試乗行程で強く感じた問題点は大きく3つ。

1つ目は、充電インフラ問題、2つ目は「おかわり充電」のマナー問題、3つ目は、EVの充電に関する勘違いとリテラシーの問題である。

充電スタンド数だけではない充電インフラ問題

現在、全国のEV充電スタンド数は2万弱、このうち8000弱が外出先での充電で実用的となる、急速充電スタンドである。

対して、過半数がレジャーや旅行などでの移動中での充電には適さない、普通充電スタンドとなる。

充電機器が1基という施設も多い
充電機器が1基という施設も多い    シャッターストック

普通充電スタンドは宿泊中に充電するなら、十分に使い勝手が良いものだが、宿泊施設に備えたところはまだまだ少ない。

ただ、現時点で、充電スタンドを備えた施設数だけでみれば、主要道路においてはおおむね網羅されている状況である。

高速道路では、ごく一部のサービスエリアを除いてEV急速充電スタンドを備えているし、国道ではほとんどの道の駅にある。

しかし、1施設あたりの充電機器台数はほとんど1基で、2基以上備えた充電スタンドはまだまだ少ない。

筆者がEVで四国遍路を走ったのはコロナ禍で、ほとんど平日であったため交通量は比較的少ない状況だったため、充電スタンドが混雑していることがなかった。

ただ、アフターコロナ後にEV走行台数が増えたときには、1施設あたり1基の充電スタンドで不足するところが出てくるだろう。

一例を挙げると、本州と淡路島、徳島を結ぶ、神戸淡路鳴門自動車道の淡路サービスエリアでは、併設する「淡路ハイウェイオアシス」と呼ばれる複合施設の駐車場にEV急速充電スタンドがあるのだが、1基しかないうえ、上り/下りが兼用となっている。

ここは、筆者も数度利用したが、先に充電するクルマがいたり、自分が充電中にEV充電にやってきたことがあった。

淡路サービスエリアは、大阪/神戸の大都市部と淡路島/四国を行き来するクルマの多くが立ち寄る重要な拠点となっており、ここで充電を必要とするEVは多い。

本州側から来た場合、淡路サービスエリアの次の充電スタンドは、約55km先の淡路南パーキングエリアとなる。

ここは、早急に充電スタンドの増設を望みたいところだ。

道の駅では、急速充電スタンドがあっても夜間は充電できないところがいくつかあった。

また「充電カード(NCSや自動車メーカーが発行する充電スタンドで共通的に使用できる認証カード)」が使えず、その道の駅の独自の会員サービスに加入していないと充電ができなかったり、現金を窓口で支払わないと充電スタンドが使えなかったりするところがいくつか遭遇した。

EVで長距離走行するときは、EV充電スタンドのデータベースを活用したスマートフォンアプリを使用して、事前の計画を立てておく必要がある。

また、計画を立てていても、先に充電している車両がいるかもしれないし、充電機器が故障していることもある。

筆者は実際に1度、充電スタンドに辿り着いて初めて故障であること知り、慌てて最寄りの充電スタンドに移動した。

このとき、たまたま近くに道の駅があったからよかったが、近くに充電スタンドがなく、充電残量が残りわずかだったら、と思うと肝を冷やした。

また、充電スタンドでは、充電の順番待ちをする待機車両用の駐車スペースがないところが目立った。

高速道路のサービスエリアでも、待機車両用の駐車スペースを備えたところはまだまだ少ない。

さらに、充電出力が低い充電スタンドの早期の更新も課題だ。

筆者が走行したルート上での、サービスエリアの充電スタンドはほとんど50kWないしは44kWと高速タイプであった(これでも高速とはいえない、という意見についての議論はここでは割愛する)が、道の駅やコンビニやスーパーなどに備える急速充電スタンドでは、30kW以下の中速スペックのものが多かった。

30kW以下の出力では1回の充電で最大15kWhしか充電できない(公共の急速充電スタンドでは最長30分の充電時間となる)。

なお、車両のバッテリー温度などの状態により、計算上の充電量より少なくなることがある。

今回試乗した4車種の平均的な電費は、5-8km/kWh(エアコン不要な気持ちの良い季節という好条件)で、仮に15kWhの充電量に対する航続距離は45-120kmとなる。

この先、技術の進歩で電費がよくなり、バッテリー容量が少ないEVが登場して普及したとしても、充電スタンドのスペック以上の電気をEVのバッテリーに充電することはできない。

EVそのものの進化とあわせて、充電スタンドの進化も課題である。

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