【架空のヒロンデルを実写に】ボルボP1800とC70、ジャガーXJ-S、インターセプターIII 後編

公開 : 2021.05.29 17:45

英国人作家のミステリー作品、セイント・シリーズに登場する架空のクルマがヒロンデル。実写版で選ばれた4台を、英国編集部が振り返ります。

もくじ

電動サンルーフと無線電話を装備
サルーンの850をベースとしたクーペ
1960年代のイタリア車を彷彿とさせる
P1800のステアリングを握るロジャー・ムーア
4世代のヒロンデル役のスペック

電動サンルーフと無線電話を装備

text:Andrew Robrts(アンドリュー・ロバーツ)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
TVドラマ「セイント」の準備期間に、映画制作陣は英国のグランドツアラーから候補を選出。アストン マーティンにブリストル、ジェンセンといった選択肢が並んだ。ジャガーXJ-Sは、当時の別の作品に出ていた理由で外された。

ジェンセン・インターセプターIIIの現オーナー、博士のシャン・チェティヤワルダナが、当時の経過を調べている。「アストン マーティンは、映画には興味を示さなかったようです」

ジェンセン・インターセプターIII(1971〜1976年)
ジェンセン・インターセプターIII(1971〜1976年)

「ブリストルは、期限までにクルマを用意できませんでした。プロデューサーが希望したブリエンツ・ブルーは、人気色だったからでしょう」

偶然にも、OND 954Pのバンバーを付けたインターセプターのオーナーが、定期点検でジェンセンのガレージへクルマを持ち込んだ。そのオーナーへ、魅力的な提案でジェンセンは誘惑したようだ。

映画の要件に合わせて、インターセプターをシリーズIVの仕様にアップデート。加えて従来の「ST 1号」と同じく、電動サンルーフと無線電話を装備するという、4423ポンド相当の変更費用を映画の制作陣が支払う内容だった。

その頃のチェティヤワルダナはジェンセンへ興味を抱いており、購入すべきインターセプターを探していた。工場を訪問すると取締役のピーター・トーマスから、撮影後に「ST 1号」役は手放され、レストアを受ける予定だと説明を聞いた。

残念ながら3回目のセイントは、ターゲットの北米では高い人気を得られずじまい。英国でも1989年の週末にTV放映されたが、視聴率は稼げなかった。

サルーンの850をベースとしたクーペ

撮影を終えたインターセプターは再塗装され、クロームメッキを再処理。パワーステアリングとオルタネーターは一新され、車内も仕立て直された。前オーナーから、チェティヤワルダナは1990年3月に所有権を引き継いた。

このインターセプターは、ジェンセン・オーナーズクラブ・ナショナルコンクールで何度かの受賞歴があるほど美しい。本当に素晴らしい状態を保っている。映画のシーンを回想するのにも、最適な大道具といえるだろう。

ジェンセン・インターセプターIII(1971〜1976年)
ジェンセン・インターセプターIII(1971〜1976年)

そして4代目のヒロンデル役は、1990年代後半に登場した。こちらも既に25年近くが経っている。パラマウント社が「ザ・セイント」の映画化を計画すると、選ばれたのは再びボルボだった。

俳優のヴァル・キルマーが演じるサイモン・テンプラーが運転したのが、ガーネット・レッドのC70。サルーンの850をベースとしたクーペで、トム・ウォーキンショー・レーシング社が開発に関わっている。

映画は、ボルボC70の大切な広告媒体になった。パラマウント社とボルボ社による共同のプロモーションは、地元のTVCFだけでなく紙面広告、自動車ショー、ディーラーでの展示やウェブサイトなど多岐に渡った。

ボルボC70は、1996年のパリ自動車ショーでデビュー。英国では1997年6月に販売が始まった。映画の「ザ・セイント」は1997年4月に公開。ボルボ・ファンの1人、アンドリュー・ハワードもその作品に心が奪われた。

1995年のスパイ写真をひと目見て、新しいボルボのクーペに魅了されていたそうだ。「その写真は斜め後方からの姿でした。とても驚きましたよ」

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