【専用エンジンに専用ボディ】フィアット130 クーペ 英国版クラシック・ガイド 後編

公開 : 2021.10.30 07:05  更新 : 2021.10.30 09:49

1970年代のフィアットを象徴するような、美しいボディの130 クーペ。上物を発見できれば、手の施しがいがあるクラシックだと英国編集部は評価します。

快適な乗り心地に不足ないスピード

執筆:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)
撮影:James Mann(ジェームズ・マン)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フィアット130 クーペは、試乗評価の内容も良好で、現在まで大切に乗られてきた例も少なくない。ステアリングコラムやシートの調整域が大きく、ドライビングポジションにも優れている。乗り心地は、現代水準でも快適といえる。

ステアリングは軽快で、コーナーでのボディロールはほとんど生じない。価格の割にスピードが足りないことを新車当時は指摘されたが、クラシックとして考えれば充分以上。160km/hでの巡航もいとわないほど。

フィアット130 クーペ(1971〜1977年/欧州仕様)
フィアット130 クーペ(1971〜1977年/欧州仕様)

購入時は、まず3.2L V6エンジンが簡単に始動し、スムーズに回転するか確かめたい。堅牢なユニットだが、タイミングベルトは5年毎か4万8000km毎での交換をオススメする。致命的な故障につながるため、ウオーターポンプの状態も同時に確かめたい。

エンジンの摩耗具合は、エンジンオイルの過剰な消費や、過度なメカニカル・ノイズと振動が出ていないかで確認できる。部品は入手できなくないが、リビルト品でも数は限られる。

ATの場合は、フルードが黒ずんでいないかチェックしたい。透明感のある赤が理想的。MTの場合は、変速時にギアの回転数を合わせてくれるシンクロメッシュの調子や、内部シャフトのノイズを確かめる。MTのリビルトは高く付く。

ボディのサビやフルード漏れにも注意

新車当時からブレーキペダルを踏んだ感触が柔らかく、指摘されていた。現代的な強化ホースを用いればタッチは改善できる。ブレーキキャリパーの固着にも注意したい。

サスペンションのボールジョイントやラバーブッシュの摩耗で、操縦性が悪くなる。交換費用は高くない。ショックアブソーバーも、経年劣化で減衰力が落ちてくる。

フィアット130 クーペ(1971〜1977年/欧州仕様)
フィアット130 クーペ(1971〜1977年/欧州仕様)

ステアリングの過度な遊びやフルード漏れは、リビルトのサイン。手間の掛かる、ボディのサビにも気をつけたい。

今回ご紹介するクルマは資金力のあるコレクターのおかげでレストアされ、インテリアはレザーとアルカンターラにアップグレードしてある。元はモノトーンのベロア素材で仕立ててあったという。

ボンネットを開くと、アクセントとしてレッドが各所に塗られている。本来はすべて、ビジネスライクなブラックだ。

購入時に気をつけたいポイント

ボディ

前後のフェンダー、特にホイールアーチ付近は念入りに確認したい。前後のバランスパネル、ヘッドライトの下、ボンネットの先端、インナーフェンダー、バルクヘッド、フロア、ドアの取り付け部分、Bピラーなど錆びるポイントは多数。

荷室のフロアや、シャシーレッグも要注意。ライト類は部品の入手が極めて難しい。

エンジン

フィアット130 クーペ(1971〜1977年/欧州仕様)
フィアット130 クーペ(1971〜1977年/欧州仕様)

アウレリオ・ランプレディ氏が設計した3.2LのSOHC V6エンジンは、130 クーペの個性にぴったり。滑らかに吹け上がりトルクも太く、手入れさえ怠らなければ耐久性も高い。タイミングベルトとウオーターポンプの交換履歴は要確認。

インテリア

内装トリムは130 クーペの専用で非常に希少。価格も高い。スイッチ類など、すべてが正常に動き、機能するか確かめる。ご紹介する130 クーペの内装はレストアしてあり、オリジナルはベロアだ。オプションでレザーも選べ、耐久性はある。

トランスミッション

ZF社製のMTは、リビルド可能だが費用はかさむ。ボルグワーナー社製のATは、MTより安価にリビルドできるものの、不調がないかは確かめたい。ギアレバーの周囲を入手困難なスイッチ類が囲んでいる。取り扱いには気をつけたい。

ステアリングとブレーキ

ブレーキペダルを踏んだ感覚がスポンジーなのは、新車当時から。長く乗らないでいると、キャリパーが固着することも。

ステアリングラックはZF社製。過度に大きい遊びやフルード漏れがないか確かめる。

サスペンションとホイール

ダンパーはヘタリに注意。ボールジョイントは比較的安く交換できる。クロモドラ社製のマグネシウムホイールは腐食しやすく、入手も困難だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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