どこか不安? 増えた「電動パーキングブレーキ」 メリット大といえるワケ 手動/足踏み式と比較

公開 : 2021.11.22 17:40

電動パーキングブレーキ どこか不安?

さて、本題はここからだ。

実はこのコラムのきっかけは編集担当Uの素朴な疑問から。

トヨタ・アクアの内装。先代はサイドレバー式だったが、新型になりすっきりとした印象となった。
トヨタアクアの内装。先代はサイドレバー式だったが、新型になりすっきりとした印象となった。

「ATのポジションをPレンジに入れるとサイドブレーキがかかり、またDレンジに入れて発進するときには解除される電動パーキングブレーキが増えました」

「個人的には、どんな状況でも、手で引いたブレーキが安心材料です。だからDに入れてアクセル踏むと解除される仕掛けは、少し怖いと感じる事もあります」

「どう思いますか?」というのだ。

そこで、自動解除について考えてみたいと思う。

たしかに最近、そういうタイプが増えている。

ATセレクトレバーの動きに連動し、クルマを止めてPレンジに入れると自動でパーキングブレーキが作動。

発進時はDレンジに入れてアクセルを踏むと自動解除されるのだ(シートベルト装着時のみ自動解除されるメーカーもある)。

それ自体は便利な機能だし、パーキングブレーキのかけ忘れを防げるなど安全に対するメリットもある。

また、メルセデス・ベンツレクサスの一部車種など自動操作を前提にパーキングブレーキのスイッチ自体を小さく目立たない場所としているメーカーもあるほどだ。

とはいえ編集担当Uのように、安全面から自動解除に不安を覚えるユーザーもいるのかもしれないし、それはわからなくもない。

たしかに、本人が意図しないところでブレーキが解除されるのを嫌がる人もいることだろう。

「意図せぬ発進」ありえない?

しかし、それは考え方の問題ではないだろうか。

そもそもDレンジに入れてアクセルを踏む状況は「発進する」という明確なドライバーの意図のもとにおこなわれること。

「クルマを動かすときだけDレンジ、動かすつもりがないときはPレンジ」を徹底すれば、自動解除によるアクシデントを心配する必要はなくなると筆者はいう。
「クルマを動かすときだけDレンジ、動かすつもりがないときはPレンジ」を徹底すれば、自動解除によるアクシデントを心配する必要はなくなると筆者はいう。    シャッターストック

その際に、走行に支障となるパーキングブレーキが自動解除するのに際して「ドライバーに反している」という人はまずいないだろう。

なかには「もし発進するつもりがないのにアクセルを踏んでしまったら、勝手にパーキングブレーキが解除されるなんて危ない」という人もいると思う。

しかし、その理論は正しくない。

なぜなら、発進する意図がないのであれば「Dレンジ」に入れていること自体が間違いだからだ。

クルマを発進させるつもりがないのであれば、Dレンジに入れるべきではない。

Dレンジに入れなければ間違ってアクセルを踏んでも勝手にパーキングブレーキが解除されることはないし、発進もしない。

「クルマを動かすときだけDレンジ、動かすつもりがないときはPレンジ」

それを徹底すれば、自動解除によるアクシデントを心配する必要はなくなる。

その基本を徹底するべく、意識の切り替えが大切なのだ。

たとえば駐車場のチケット発券や料金支払いなどで、Dレンジのままパーキングブレーキに頼ってブレーキペダルから足を離すのは絶対にやってはいけないことである。

停車中はPレンジに入れることを守れば、自動解除を不安がる必要はない。

ただ、不安のある人のためには自動解除をキャンセルする設定もあれば親切といえそうだ。

信号待ち時のホールドモードに関しては、心配するのであれば活用せずにブレーキペダルを踏みっぱなしでいるのがいいだろう。

オートホールド時は自分がブレーキを踏んでいるつもりになり、いつでも対処できるように構えていることが大切だ。

このところ、クルマは急激に機能の電子化が進み、操作方法が変化したものも多い。

しかし、それに対して「慣れない」という理由だけで反発するのではなく、気になるのであれば使い方の基本に戻ってみる必要があるのではないだろうか。

「発進するつもりがないならPレンジ」をいま一度徹底するべき時だ。

「エアコン操作はやっぱりタッチパネルよりも物理スイッチがいい」と常日頃思っている、実は先進の操作方法に馴染めない筆者に言われたくはないだろうが……。

記事に関わった人々

  • 執筆

    工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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