【公道最強のインパクト】ポルシェ963 RSP登場、公道で走れるレーシングカーを夢みて

公開 : 2025.06.11 18:45

ポルシェは、ル・マン24時間耐久レースに参戦するハイパーカー『963』のストリートバージョン『963 RSP』を発表しました。1970年代に登場した、伝説の917ストリートを彷彿とさせるマシンとなっています。

時代は変われど、描く夢は変わらず

ポルシェは、ル・マン24時間耐久レースに参戦するハイパーカー『963』のストリートバージョン『963 RSP』を発表。ウインカーやナンバープレートこそついているが、公道を走ることができるポルシェの中で最も過激なクルマといえる。

この963 RSPは、1975年にイタリアの貴族、グレゴリオ・ロッシ・ディ・モンテレラ伯爵のために製作された『917』の公道仕様車にインスパイアされており、仕様もそれに準じるものとなっている。なお、この917のロードカーは、現在でもグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードやコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステなどのイベントに頻繁に姿を現している。

ポルシェ963 RSPとロッシ伯爵の917。
ポルシェ963 RSPとロッシ伯爵の917。    ポルシェ

963 RSPの中身は、現役のル・マン耐久レーサーとほぼ同一だ。963は、フェラーリ499PやアルピーヌA424、BMW MハイブリッドV8などと同じWEC(世界耐久選手権)に参戦するLMDhマシンであり、カナダのマルチマティック社が製作したLMP2規格のシャシーをベースにしている。

その心臓部には、ポルシェ918スパイダー由来の4.6L V型8気筒ツインターボをハイブリッド化した、最高出力680psのパワートレインを搭載。0-100km/h加速は約3.0秒、最高速度は330km/h超とされ、ナンバープレート付きポルシェとしては最速といえるパフォーマンスを発揮する。

嬉しい専用カップホルダー付き

この963 RSPの製作を担当したのは、ポルシェの長年のパートナーであり、IMSAスポーツカー選手権で963を走らせている『チーム・ペンスキー』のオーナー、ロジャー・ペンスキー氏。車名の『RSP』は彼の名前に由来する。

元レーシングカーを転用したのではなく、最初から公道仕様車として製作されたのも注目すべき点。米国アトランタにあるポルシェの特注プログラム『Sonderwunsch(ゾンダーヴンシュ)』担当部門が中心となり、ル・マン周辺の一般道でのテスト走行も実施され、公道での走行が可能であることが証明されている。

ポルシェ963 RSPのインテリア。
ポルシェ963 RSPのインテリア。    ポルシェ

公道走行に必要な装備として、ウインカー、ブレーキランプ、レース仕様よりも高い車高、レインタイヤ、そして細部にわたる空力パーツの調整が施された。例えば、フロントフェンダーの通気口は塞がれ、タイヤが跳ね上げた小石がウインドシールドに当たらないよう配慮されている。

レーシングカーではおなじみのボタン式ドリンクシステムが取り外された代わりに、カップホルダーが装備されている。

外装色には、ロッシ伯爵の917と同様のシルバーを採用。これは『マルティーニ・レーシング』を想起させる色味で、オールカーボンファイバー製ボディに均一な塗装を施すのは極めて難易度が高かったという。インテリアも当時と同様、タンレザーによる仕上げがなされている。

ただし、ナンバー付きとはいえ一般的な市販車とは異なり、エンジン始動にはラップトップPCの接続が必要だ。これは、キーを捻るだけで始動した917との大きな違いだ。

963 RSPは、ル・マン24時間耐久レースの会場に展示された後、7月にはグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにも登場予定。価格は非公表だが、およそ500万ユーロ(約8億2600万円)と推定されている。

ポルシェは、963 RSPは「今のところ」は1台限定のワンオフ車とする予定だが、オーダーがあれば再び製作を検討する可能性もあるとのことだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_
  • 編集

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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