マツダのコ・パイロット(副操縦士)、EDSSを変えるのか? 公道試験に同行してみた

公開 : 2021.12.08 06:15

体調急変! 他車にどう伝える?

技術者によれば、車線内だけを走行するのであれば現状のセンサーでも対応は可能だが、路肩への移動など車線を変更する場合はこうしたセンシングと高精度マップによる誘導が欠かせないとのこと。

高精度マップも、今回の体験試乗のために試乗コースとなった東京・お台場界隈のデータを準備したのだという。

ドライバーに異常が発生した際は、ハザードランプを点滅させて減速停止に向かっていることを他車に知らせる。なお、コ・パイロットという技術自体は、衝突回避支援ブレーキと同じように停止を目指すものであって、自動運転の範疇に入らない。
ドライバーに異常が発生した際は、ハザードランプを点滅させて減速停止に向かっていることを他車に知らせる。なお、コ・パイロットという技術自体は、衝突回避支援ブレーキと同じように停止を目指すものであって、自動運転の範疇に入らない。    マツダ

体験コースでは計3回の退避が設定された。

1回目はコ・パイロット2.0の基本動作である車線変更を含む路肩退避で、2回目は路肩駐車車両の側方通過を体験。

そして3回目はより安全な場所へ退避して駐車することを想定したものである。

いずれも技術者が緊急作動ボタンを押してステアリングから手を離すと、すぐに警報音が車内に鳴り響き、ハザードランプの点滅と同時にホーンが断続的に鳴り始める(公道テストのためホーンが聞こえるのは車内のみ)。

外部に対してはハザードランプが減速停止に向かっていることを知らせ、車線移動や路肩へ向かうときはウインカーも作動させる。

そして停止状態になると後続車の追突を防ぐために、ブレーキランプを通常よりも速いハイフラッシュで異常事態を知らせていた。

1回目のデモでは、ドライバーは何も操作はしていないにもかかわらず第一車線の路肩へと車両を移動させて自動停止し、ヘルプネットへの接続が行われた。

本当に異常事態に陥っていたときは同乗者は緊張するのだろうけど、ホーンがけたたましく鳴っているものの、その流れは極めてスムーズで何事もないように停止。ヘルプネットへ接続が行われるので、そこで初めてキャンセルの操作をしたのみだ。

停まる場所がないケースは?

2回目は大型トラックが左側に駐車している状態で緊急作動ボタンを押した。

すると駐車車両を避けながらその先のスペースに駐車する動きを見せたが、この時は駐車車両が交差点ギリギリまで駐めていたため、交差点内に停止するわけにもいかず結果としてここでの停止行動はキャンセルとなった。

3回目はより安全な退避場所に停止を試みるテスト。目の前の交差点、歩行者や自転車の状況をシステムが確認し、左折した先にある停車しやすい路地を目指す。
3回目はより安全な退避場所に停止を試みるテスト。目の前の交差点、歩行者や自転車の状況をシステムが確認し、左折した先にある停車しやすい路地を目指す。    AUTOCAR JAPAN編集部

これはコ・パイロットが周囲の道路状況をつぶさに監視ながら制御していることの証しとも言えよう。

そして3回目が注目の非常停車帯への退避となる。

実際には大通りから路地に入ったところを安全な停止場所として設定しており、緊急作動ボタンを押した後、そこを目指して車両は自動走行。

この時の誘導も極めて自然に行われた。マツダは「あくまで停止行動のための行動であって自動運転ではない」としているが、この動きを体験するとその完成度の高さに驚きを隠せなかった。

これに予兆が加われば、危険リスクは相当なレベルで回避されるのはないかと実感した次第だ。

ドライバーを見守る技術も体験

一方、この日は公道で実現できなかった「コ・パイロット2.0」に向けて開発を進めている「ドライバー状態検知技術」も停止状態で体験した。

これはてんかんや脳血管疾患など脳の機能低下によって発生する意識低下を普段の運転行動から予兆する技術で、その検知方法については3つのパラメーター(運転操作/頭部挙動/視線挙動)からその変化を捉え、総合的に異常の予兆を検知・判断する。

会場にはマツダ3・ファストバックの技術車両が置かれ、前方に走行シーンのビデオ映像を流して「ドライバー状態検知技術」を再現した。

中でも詳しく説明されたのが視線挙動に関してだ。

車内には赤外線カメラが備えられ、ドライバーの視線を常時監視。ドライバーの瞼や視線の先を監視することで異常を検出し、その結果はわかりやすいようタブレット上に示された。

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