発電用「ロータリー」で新風! マツダMX-30 R-EV お値段以上のインテリア 長期テスト(1)

公開 : 2024.04.20 09:45

発電用ロータリーを搭載した、シリーズ式ハイブリッドのMX-30 マツダらしい楽しさは? バッテリーEVやプラグインHVとの能力差は? 英国編集部が長期テストで評価

初回 新しい風を吹き込んだMX-30 R-EV

昨今の欧州市場では、主力カテゴリーといえば小さなSUVだ。従来のハッチバックと同等の全長・全幅に、広々とした車内や荷室と、見晴らしの良い視点。運転のしやすさはそのままに、従来以上の実用性を求めるユーザーにとって、魅力的なレシピといえる。

マクラーレンなど特別な例を除いて、自動車メーカーのほぼすべてが、小さなSUVをラインナップしている。市街地を運転すれば誰でも気付けると思うが、販売割合もかなり大きい。加えて多くの自動車メーカーは、他のメーカーと協力関係を結んでいる。

マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)

必然的に、モデルによる違いは生まれにくくなる。このクラスで高い評価を得るモデルは、いずれも同等のパッケージングにあるといっても良いだろう。

そんな面白みの欠ける市場に、新しい風を吹き込んだのが、マツダMX-30 R-EVだ。第一印象から、筆者は他に例を見ないモデルだと感じた。スタイリングは好戦的でなく、飾り立てられてもいない。美しくクリーンに仕上がっている。

サイドのドアは、特徴の1つ。フロントドアを開くと、リアヒンジのリアドアも開くようになる。まるで、マツダのロータリー・スポーツの最後を飾った、RX-8のようじゃないか!と思った。

この観音開きドアを備えるモデルは、他にフェラーリプロサングエか、ロールス・ロイスのリムジン程度。真横から見るプロポーションも、均整が取れている。

お値段以上のインテリア 発電用のロータリー

インテリアの景色も心地良い。欧州では新車価格の高騰が止まらないが、少なくとも英国では、4万ポンド(約768万円)の車内とは思えないほど上質。クロス張りのシート1つとっても、座り心地に優れ見た目も上品。足元の空間も広い。

インフォテインメント・システムも直感的に扱える。センターコンソールには、ロータリー・コントローラーがあり、ダッシュボード上のモニターに映し出されるメニューを操作できる。ミュージックとナビ、ホームへ飛べる、ショートカットキーも付いている。

マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)

シフトレバーの前方には、エアコン用のタッチモニター。その両脇には、実際に押せるハードボタンが並んでいるから、実際に触れる機会は少ないが。

運転性からの視界は素晴らしく、明るめのシートの色味と相まって、車内は実際以上に開放的。コルクを用いた化粧パネルは、本当に肌触りが良い。コルクの製造業者としてスタートしたマツダの歴史が、誇らしげに表現されている。

そして最大の特徴といえるのが、ボンネットの内側にある。2021年に英国へやってきたバッテリーEVのMX-30 EVは、航続距離が短く評価が優れなかった。AUTOCARの試乗で確かめた限り、実際に走れる距離は約190kmに留まった。

これを改善するため、MX-30 「R-EV」には発電機としてロータリーエンジンが載っている。2300rpmから4500rpmで回転し、17.8kWhの容量を持つ駆動用バッテリーへ電力を供給するという。ちなみに現在の量産車では、ロータリーエンジンを積む唯一だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト マツダMX-30 R-EVの前後関係

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