ACシュニッツァー ACS1 35iへ試乗 306psは不変 一層アツいホットハッチに

公開 : 2022.02.09 08:25

独自のシャシーチューニングで、輝きを増したBMW M135i。最新のACシュニッツァーを英国編集部が評価しました。

最高出力は不変 シャシーをチューニング

ドイツのチューニング・ガレージ、ACシュニッツァー。古くからのBMWファンなら、その名をご存知の方も多いだろう。

彼らのチューニング・レシピは一貫している。エンジンからより多くのパワーを引き出し、シャシーを引き締め身のこなしをタイトにし、インテリアに少しの彩りを与えるというものだ。

ACシュニッツァー ACS1 35i(欧州仕様)
ACシュニッツァー ACS1 35i(欧州仕様)

先日は最新のBMW M3をベースに入念に手を加えた、ACシュニッツァー ACS3スポーツへ試乗した。今日は四輪駆動のBMW 1シリーズ、M135iをベースにした、ACS1 35iを楽しませていただいた。

ただしACS1のチューニング内容は、彼らとしては比較的控え目なもののようだ。2.0L直列4気筒ターボエンジンの最高出力は、ノーマルと同じ306ps。組み合わされる8速ATの許容能力を考えて、これ以上のパワーアップは見送ったという。

そのかわり、というわけではないと思うが、エンジン以外には多くのアイテムが投入されている。ACS1という名へ相応しいように。

排気系には電子制御の可変バルブを備える、オリジナルの高効率マフラーを装備。左右2本出しのマフラーカッターはカーボンファイバー製で、英国価格は1736ポンド(約27万円)なり。

独自デザインの20インチ・アルミホイールは、フロー成形技術で作られている。こちらは4406ポンド(約68万円)だという。さらにオリジナルのボディキットとなる、フロントスプリッターとリアスポイラーで見た目を差別化してある。

遥かにシリアスなルックス

インテリアにも、ACシュニッツァーのロゴ入りペダルと、ブラック・アルマイト加工が施されたシフトパドルなどが奢られている。加えてデモカーの場合は、ボディの全塗装も施されていた。

ACシュニッツァー独自の、車高が落ちるコイルオーバーキットも用意される。標準設定はドイツメーカーの推奨値が与えられているが、車高調整だけでなく、ダンパーは伸縮と伸長、それぞれで減衰力を変更できる。こちらは2457ポンド(約38万円)だ。

ACシュニッツァー ACS1 35i(欧州仕様)
ACシュニッツァー ACS1 35i(欧州仕様)

締めて総額、英国価格1万1584ポンド(約179万円)のチューニングだという。ベース車両への取付費用なども含めて。

そのルックスは、オリジナルのM135iより遥かにシリアス。ACシュニッツァーの大径ホイールに加えて、サスペンションで下がった車高のおかげだろう。

発進させてみると、ステアリングホイールやシートを通じて、路面をダイレクトに感じることができる。20インチの扁平タイヤであることを考えれば、路面からの入力を巧みに足まわりが受け止め、不快な振動などは想像するほど車内へ伝わってこない。

新しいエグゾーストシステムが組まれているが、4気筒ターボエンジンの個性には、さほど変化がない様子。パワフルで扱いやすい特性なものの、深く記憶へ残るタイプのユニットではないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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