2035年のアルピーヌ 水素ハイパーカーコンセプト「A4810」公開 視覚的な軽さを追求

公開 : 2022.03.21 19:45  更新 : 2022.11.01 08:41

イタリアの学生が考案するアルピーヌのハイパーカー・コンセプトが公開されました。水素を動力源としています。

2035年の水素燃料ハイパーカー

アルピーヌは、新型のコンセプトカー「A4810」を公開した。2035年に登場するかもしれないゼロ・エミッション・スポーツカーをイメージしたものだという。

このコンセプトは、トリノに拠点を置くデザイン学校Istituto Europeo di Design(IED)の交通デザイン専攻の学生によるもので、2021年秋にアルピーヌから「最新世代のテクノロジーを取り入れつつ、ブランドのトレードマークを感じさせるコンセプト」の依頼を受けて制作された。IEDの学生たちは、これまでにもスズキ、ヒュンダイ、ピニンファリーナと共同でコンセプトカーを制作したことがある。

アルピーヌA4810
アルピーヌA4810    アルピーヌ

A4810の特徴は、斬新で未来を感じさせるデザインに加えて、アルピーヌとしては初めて水素を動力源とするドライブトレインを採用していることだ。燃料電池による電気駆動方式なのか、それとも水素燃焼エンジンなのかは明らかにされていないが、2本のたくましいマフラーから察するにおそらく後者だろう。

いずれにせよ、4気筒エンジンを搭載する現行A110や、まもなく発表予定のEV(クロスオーバー、グランドツアラー、スポーツクーペ)とは、根本的に異なるモデルとなる。

注目すべきは、親会社のルノーが最近、「水素エンジン」を搭載するとされるコンセプト・クロスオーバーを披露したこと。トヨタと同様に、既存の燃焼技術を維持する手段として水素を利用する可能性があるのだ。

将来のデザインに影響を与えるかも

近未来的なコンセプトであるため、A4810の構造や性能の詳細については明らかにされていないが、IEDによれば、「軽量でありながらパワフルで俊敏」、そしてA110でおなじみの「純粋なドライビング・プレジャー」の提供に焦点を当てたクルマであるという。

全長5091mm、全高1055mm、全幅2010mmと、A110よりも大型だが、デザイナーは「視覚的に軽くする」ことを目指し、F1にヒントを得た空力設計の要素を導入したとしている。

アルピーヌA4810
アルピーヌA4810    アルピーヌ

残念ながら将来の市販車を予告するものではないと言われており、A4810はデザインスタディにとどまる運命にあるようだ。しかし、アルピーヌが従来の燃焼技術から脱却していく中で、将来のスポーツカーを予想するヒントを与えてくれるかもしれない。

アルピーヌのチーフ・デザイナーであるラファエル・リナーリは、「パッケージ、プロポーション、デザイン言語の面で、アルピーヌの新たな領域を開拓する」とし、学生たちがたどり着いたA4810は「非常に興味深い答え」を提示していると述べた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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