アルピーヌが新型「爆速EV」初公開 全長4.0m以下、実用的スポーツカー年内デビュー

公開 : 2024.02.21 06:05

ルノー傘下のスポーツカーブランド、アルピーヌが新型「A290」プロトタイプを初公開。5ドアの小型ハッチバックにA110同様のスポーツ性を詰め込んだ次世代の電動ホットハッチだ。

スポーツ性を詰め込んだ電動ホットハッチ

ルノー傘下の自動車ブランドであるアルピーヌは、新型EVのA290のプロトタイプを公開した。6月の正式発表に向け、テストの最終段階に入っている。

A290は、新型ルノー5 Eテック・エレクトリックをベースとする高性能ハッチバックで、実車の公開はコンセプトモデル以来初となる。

次期アルピーヌA290のプロトタイプ
次期アルピーヌA290のプロトタイプ    アルピーヌ

アルピーヌによると、現在スウェーデンで寒冷地テスト中であり、ESPの挙動、エアコン、デフロスターなど、各機能の確認が行われているという。ミシュランが開発した専用の冬用タイヤも改良が進められている。

インテリアについても一部明らかにされた。モータースポーツにインスパイアされたというフラットボトムのステアリングホイールには、ナッパレザーが巻かれている。ドライビングモードは「OV(オーバーテイク)」、「RCH(リチャージ)」、「Drive(ドライブ)」の3種類だ。

A290は、クーペのA110のようなスポーツ性を損なうことなく、より使い勝手の良いハッチバックとなることが期待される。

アルピーヌらしい「軽快感」をとことん追求

プラットフォームはルノーのCMF-BEVを使用し、駆動用バッテリーを車体下部にマウントすることで重心を下げ、ハンドリング向上を狙う。また、リアには独立マルチリンクサスペンションが採用される。

デザイン責任者のアントニー・ヴィラン氏は、「重いバッテリーを搭載していても、軽快感とピュアな喜びという、これまでまったく同じドライビング哲学を見出したい」と語っている。

次期アルピーヌA290のプロトタイプ
次期アルピーヌA290のプロトタイプ    アルピーヌ

そのため、ルノー5のサスペンションに油圧式バンプストップを追加し、乗り心地を向上させるとともに、ハンドリングの調整性を強化した。同様に、フロントのシングルモーターのトルクベクタリングは機械式ディファレンシャルの挙動をシミュレートしており、ブレーキング時の安定性と加速時のトラクションを高めている。

A290のボディサイズは全長3990mm、全幅1820mm、ホイールベースは2530mmとされる。

また、A290にはA110と同じ4ピストンブレーキが採用されているが、これはモーターの回生と自然に調和するようにチューニングされているという。

製品責任者のチャーリー・ビアドー氏は、ブレーキペダルを通して「透明感」を感じることを目指しており、さまざまな強度の回生があると説明した。その中には「ワンペダル」ドライブモードも含まれ、モーターの回生ブレーキを最大化することで、アクセルペダルのみで運転できるようになる。

パワートレインは2種類あり、標準車にはルノー・メガーヌEテック・エレクトリックの最高出力218psのモーター、さらなる高性能版には最高出力272psのモーターが搭載される見込みだ。後者は2027年の生産開始を予定している。

バッテリーの詳細は不明だが、約52kWhのユニットを使用し、1回の充電での航続距離は400km弱と予想される。ルノーは以前、4つの「ビッグ・モジュール」に分割された新世代バッテリーは従来品よりも高密度で、その結果15kg軽量化したと発表している。

記事に関わった人々

  • ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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