MC20由来のV6ツインターボ マセラティ・グラントゥーリズモへ試乗 芳醇な伝統が香る 前編

公開 : 2023.02.16 08:25

MC20も採用する3.0L V6ツインターボ

スリークに伸びるボンネットの内側には、MC20も採用する3.0L V型6気筒ツインターボ、ネットゥーノ・ユニットが収まる。F1マシンに影響を受けたとされる燃焼室形状を備え、燃費効率を高めるため、気筒休止システムも実装している。

6500rpmで達成される最高出力は、トロフェオ仕様で549ps。3000rpmから湧出する最大トルクは、66.1kg-mを実現した。0-100km/h加速は3.5秒でこなすという。

マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ(欧州仕様)
マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ(欧州仕様)

トランスミッションはZF社製の8速オートマティック。その先には、必要に応じてリアタイヤ側に100%のトルクを配分できる、四輪駆動システムが構えている。前後の分配率は通常で30:70。フロント側へは、50%まで比率を高められる。

リアアクスルには、トルクベクタリング機能付きのリミテッドスリップ・ディファレンシャルも組まれる。フロントのデフはエンジンのすぐ前にレイアウトされ、重量物をホイールベース内に収めつつ、重心を落としている。

前後の重量配分は、52:48と理想値。秀でた操縦性を期待させる。実際の走りにも興味が湧く。

ただし、今回の試乗車にはスタッドレスタイヤが組まれていた。気温は、雪の心配がないほど暖かかったのだけれど。充分に走り込むことはできたものの、サマータイヤでの本来の能力には迫れていない。

少なくとも、先代が搭載していたV8エンジンに並ぶ崇高なシンフォニーを、ネットゥーノ・ユニットが奏でないことは間違いないようだ。低回転域では特に、ややディーゼルエンジンにも近い、直噴ユニットらしいザラついたノイズを放っていた。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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