まるで映画の主人公 マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレへ試乗 妖艶な後ろ姿に惚れる

公開 : 2025.03.31 19:05

3モーター761psのグランカブリオ クラシカルな容姿に0-100km/h加速2.8秒 上下2段のタッチモニター 使えるリアシート 魅力的なオープンエア・ドライブを実現 英編集部が評価

0-100km/h加速2.8秒 クラシカルなスタイリング

バッテリーEVの多様化が進むことを端的に示すのが、マセラティのグランカブリオ・フォルゴーレだろう。今のところ世界で唯一の電動4シーター・ロードスターといえ、運転を楽しむためのモデルが、また1つ増えることになる。

確かに、ニッチなクルマであることは否定できない。ソフトトップを開いても、甘美なエンジンサウンドは降り注いでこない。

マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレ(英国仕様)
マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレ(英国仕様)

グランカブリオ・フォルゴーレの性能に関する数字は、眼を見張るものだ。急速充電は最高270kW。最短5分で、100kmぶんの電気を蓄えられる。トリプルモーターによる最高出力は761ps。0-100km/h加速は、2.8秒でこなせる。

フロア部分に敷かれた駆動用バッテリーの容量は、83.0kWhと小さくない。それでいて、スタイリングはクラシカルでエレガント。自ずと、驚きと輝きに満ちた運転体験を期待させる。

造形から受ける印象は、人によって異なるものだが、主観的には非常に美しいボディだと思う。マセラティは、以前から崇高で上品なデザインに定評があった。この佇まいを見て、醜いと表現する人はいないはず。

全長は4966mm、全幅が1956mmと、サイズは大きい。ホイールベースも、2929mmある。車重は2415kgと、かなりの重量級でもある。ガソリンエンジンを積んだグランカブリオ・トロフェオより、445kgも重い。

上下2段のタッチモニター 使えるリアシート

フォールディングルーフは、ファブリック。49km/hまでなら、走行中でも開閉でき、16秒で動作は完了する。ただしタッチモニターでの操作が必要で、運転中は項目を選ぶことが簡単ではない。ちゃんとロックされたかどうか、確認する必要もある。

インテリアで目を引くのは、ダッシュボード中央にある、そのタッチモニター。上下2段に分かれており、上方はカーナビや再生メディア用で、下方はエアコンなどの車載機能のインターフェイスになっている。ソフトトップの開閉も下側が受け持つ。

マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレ(英国仕様)
マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレ(英国仕様)

グラフィックは高精細で申し分ないが、アイコンには小さく触れにくいものも。メニュー構造自体はわかりやすく、必要な項目はすぐに見つかる。アップル・カープレイとアンドロイド・オートには、無線で対応する。

ステアリングホイールにはロータリーダイヤルが備わり、ドライブモードを選択可能。デザインも美しく、リムの握り心地は素晴らしい。その奥には、回生ブレーキの強さを選べるパドルが備わる。

前席側は広々だが、後席側で快適なのは小柄な大人まで。ソフトトップを閉めると、頭上空間がかなり制限される。それでもポルシェ911の後席よりは広く、充分に使える。子どもなら、長距離旅行でも問題ないだろう。オープン時の、風の巻き込みも小さい。

荷室は、ソフトトップを開いた状態で131L。閉じても172Lと、正直狭い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    2006年より自動車ジャーナリストとして活躍している。AUTOCARを含む複数の自動車専門誌で編集者を歴任した後、フリーランスとして活動を開始し、多くの媒体で執筆を続けている。得意分野はEV、ハイブリッド、お菓子。2020年からは欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査員も務める。1992年式のメルセデス・ベンツ300SL 24Vの誇り高きオーナーでもある。これまで運転した中で最高のクルマは、2008年のフォード・フィエスタSTとアルピーヌA110。どちらも別格だ。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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