【日本は世界で4番目の市場】マセラティの販売を伸ばすためには?木村代表が語る「日本人の好みに合っているブランド」

公開 : 2025.04.24 11:45

先日公開したマセラティ ジャパン木村代表へのインタビュー、その続きです。オートモビルカウンシル2025会場で内田俊一が、今後の戦略について訊きました。マセラティの販売を伸ばすために必要なことは何でしょうか?

『フォルゴレ』導入は急がない

マセラティ ジャパンは10回目を迎えるオートモビルカウンシル2025に出展。1969年に製造されたギブリスパイダーと共に、最新のグランカブリオを展示した。会場で同社代表取締役の木村隆之氏に、今後の戦略について伺った。

まずは電動化について。本国ではグラントゥーリズモなどにBEVの『フォルゴレ』が登場し話題となっているが、日本導入はどうなるのだろう。

マセラティ ジャパン代表取締役の木村隆之氏に、オートモビルカウンシル2025会場でインタビュー。
マセラティ ジャパン代表取締役の木村隆之氏に、オートモビルカウンシル2025会場でインタビュー。    中島仁菜

「日本では1.5%しか電気自動車の比率がないこともあり、導入を急ぐ必要はないと考えています」と木村氏。もちろん先々での導入はあるそうだが、「まだ明確なプランはディーラーにもお話していません」とのこと。

そして、「先になればなるほどコストや性能だけでなく味付けも、電気とガソリンを比較して『電気がいい』という方が増えてくるでしょう。(フォルゴレは)唯一クルマ好きに受けるEVだと僕はいっています。エンスージアストが乗ってもいいと思ってもらえるクルマですね」と述べた。

そこまで言い切る木村氏、実はバロッコで試乗もしたという。「内燃機関と乗り比べをしたのですが、サーキットではフォルゴレの方が楽しいんです。回生ブレーキがものすごく効き、立ち上がりも早いんですよね。僕はテイスト的に電気自動車は嫌いなのですが、これだったらいいなって思いました。日本導入がいつになるかはまだ明確に申し上げられませんが、楽しみにお待ちください」とコメントした。

ビジネスパーソンへの訴求も大切

もうひとつ、ブランド戦略も気になるところ。グラントゥーリズモやグランカブリオと共に、グレカーレも導入しており、ボディバリエーションや価格帯が広がったことで今後の展開が気になるからだ。

現在マセラティのユーザー層は個人事業主や医師、弁護士などのセルフエンプロイドが85%を占め、ビジネスパーソンは15%ほどだという。しかしグレカーレを導入していることなどから、その15%を30%程度まで伸ばしたいという。また、木村氏はビジネスパーソンの認知度が足りないとも考えている。

新たなエントリーモデルとして、特にサブネームを持たない『マセラティ・グレカーレ』が登場。
新たなエントリーモデルとして、特にサブネームを持たない『マセラティ・グレカーレ』が登場。    マセラティ ジャパン

「その層ではまだまだ、自分たちが購入できるクルマだと思われていないんです。長年のイメージもあり、マセラティの価格は2500万円以上で、自分たちには関係ないと思われているんですね。その方々に、グレカーレは1100万円スタートですとお話すると驚かれます」

そこで、マセラティ ジャパンとして積極的に説明の場を設けることにした。先日も有明で展示会を実施。そういう地域に住んでいる層をターゲットにアピールすることも必要だと考えている。というのも、近年多く建設されているタワーマンションの駐車場に入らないという誤解も生んでいるそうだ。

「グレカーレは駐車場に収まる場合が多いのですが(GTグレードは全長4846mm、全幅1948mm、全高1670mm)、最初から入らないと自分たちのクルマではないと思われる方がいらっしゃいます。ですから、まだまだ開拓の余地はあると思っています」

こういう活動は東京を中心に進められるという。

「現在も東京の割合が高いんですね。特にパワーカップルが多いのもこの地域の特徴ですから、まだ伸びしろはあると思っています」と語り、まずは認知度とともに2000万円を切る価格帯からラインナップがあることを訴求していくことで、ターゲットのショッピングリストに上がる方策を打って行くそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    中島仁菜

    Nina Nakajima

    幅広いジャンルを手がける広告制作会社のカメラマンとして広告やメディアの世界で経験を積み、その後フリーランスとして独立。被写体やジャンルを限定することなく活動し、特にアパレルや自動車関係に対しては、常に自分らしい目線、テイストを心がけて撮影に臨む。近年は企業ウェブサイトの撮影ディレクションにも携わるなど、新しい世界へも挑戦中。そんな、クリエイティブな活動に奔走しながらにして、毎晩の晩酌と、YouTubeでのラッコ鑑賞は活力を維持するために欠かせない。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×