新しい「マセラティ・グラントゥーリズモ」、どう変わった? 4万台売れたシリーズがフルモデルチェンジ

公開 : 2023.08.22 19:18

マセラティの新型「グラントゥーリズモ」が年内に正式導入されます。日本にやってきた展示車を見ながら、デザイン/内装の注目ポイントを確認しましょう。

2代目が日本上陸 サイズはやや大きく

昨年秋に発表されたマセラティの新型グラントゥーリズモが日本上陸を果たし、東京都目黒区のディーラーでお披露目された。

グラントゥーリズモを名乗るマセラティとしては、2007年に発表された初代に続くものだ。しかしマセラティによれば、1947年に発表されたA6 1500に端を発する、このブランドのグラントゥーリズモの系譜を受け継ぐモデルとアナウンスされている。

新型グラントゥーリズモ・トロフェオ(ブルー・ノービレ)
新型グラントゥーリズモ・トロフェオ(ブルー・ノービレ)    宮澤佳久

第二次世界大戦前はレーシングカーのコンストラクターだったマセラティ。その中でも、タルガ・フローリオ3連覇など輝かしい成績を残した6CMに積まれていた1.5L直列6気筒エンジンをロードカー用に仕立て直し、ピニンファリーナの手になる美しいクーペボディを組み合わせたのがA6 1500だった。

エレガンスとパフォーマンスを高度に両立したこのクルマは、第二次世界大戦直後という時代を考えれば画期的であり、マセラティのアイデンティティを確立した。その流れを受けて、3500GT、5000GT、セブリング、キブリ、3200GTなどが輩出された。

その最新作である新型グラントゥーリズモ、マセラティにくわしい人であれば、先代と雰囲気が似ていると思うだろう。これは先代がオープンボディのグランカブリオを含め、約4万台という販売実績を上げたことが大きい。

全長4960〜4965mm、全幅1955mm、全高1410mmというボディサイズも、長さと幅は40mm、高さは50mmほど大きくなったにすぎない。

縦長ライト ガバっと開くフードは注目

ただし新型は3LのV型6気筒ツインターボエンジンの他に、マセラティ初の電気自動車が「フォルゴーレ」の名とともに用意されるわけで、まったく違う2つのパワーユニットを用意しながら先代そっくりに仕立てるには、相応のこだわりがあったはずだ。

外観でもっとも目を引くのは、MC20グレカーレと同じ、縦型のヘッドランプだろう。

新型グラントゥーリズモ・トロフェオ(ブルー・ノービレ)
新型グラントゥーリズモ・トロフェオ(ブルー・ノービレ)    宮澤佳久

グリル内にシャッターが付き、フード先端に熱気を抜くダクトが控えめに備わるところも特徴だ。リアはコンビランプが最近のトレンドを反映して細身になった。

フロントフードがフェンダーもろとも開くようになったことも違いで、マセラティでは「コファノ(フード)」と「パラファンゴ(フェンダー)」を掛け合わせた造語、「コファンゴ」と呼んでいる。これだけ大きく複雑な曲面を一枚で仕上げたところもまた贅沢だ。

オールスティールだった先代とは異なり、新型はボディの65%以上がアルミ製となっている。そのためエンジン車の車両重量は1870kgと、先代と同等に抑えられている。

先代では前後とも20インチだったホイールは、リアのみ21インチに大径化された。サイズはフロントが265/30(フォルゴーレは265/35)、リアが295/30だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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