世界を変えたフォード 覚えておきたい偉大な名車 49選 後編

公開 : 2024.01.03 18:25

フォードフィエスタ(1976年)

フィアット127やルノー5などがすでに活躍していた欧州Bセグメント市場に、フォードは後発で参入した。同社として初めて横置きエンジンの前輪駆動方式を採用し、スタイリングは素晴らしく、サイズの割に室内も広い。

エンジンはケントを改造した「バレンシア」と呼ばれるもので、当初は957ccと1117cc、その後1.3L、最終的にはXR2(写真)で1.6Lも導入された。フィエスタの功績の1つは、何世代もの若者が人生初のマイカーとして運転を覚え、ブルーオーバルのエンブレムに馴染むきっかけとなったことである。

フォード・フィエスタ(1976年)
フォード・フィエスタ(1976年)

フォード・レンジャー(1982年)

フォードが北米で初めて販売した小型ピックアップトラックは、第2世代のマツダBシリーズをベースとするクーリエ(1972年)である。マツダにとっては臨時収入となり、フォードにとっては新たな市場への参入となったが、フォードは独自の小型モデルを開発することにした。

こうして1982年に誕生した初代レンジャーは、現代のFシリーズにいくらか似ているが、はるかに小ぶりだ。シボレーS-10やその同系であるGMC S-15との厳しい競争をかい潜り、レンジャーは小型ピックアップトラックとして成功を収めた。丸10年間販売された後、外観は大きく異なるがメカニズム的には類似した新型にバトンタッチ。現在のレンジャーは、欧州フォードの主力トラックとして活躍している。

フォード・レンジャー(1982年)
フォード・レンジャー(1982年)

フォード・シエラ(1982年)

1980年代初頭、欧州の中型ファミリーカーが前輪駆動を採用する中、あえて後輪駆動を選択したシエラ。居住性などの面でライバルに劣るが、どちらかというと登場時にはスタイリングが受け入れられず、特に英国では「ゼリー型」と呼ばれ敬遠された。

しかし、騒ぎはすぐに収まり、シエラは瞬く間に欧州中の道路で見かけるようになった。例によってエンジンとボディの選択肢は非常に広く、ハッチバック、ステーションワゴン、3ボックスセダンがあるが、後者はサファイアと呼ばれている。四輪駆動バージョンもあった。

フォード・シエラ(1982年)
フォード・シエラ(1982年)

フォードRS200(1984年)

公道向けに数百台を生産してさえすれば、本命のラリーカーと似ている必要はない。ミドエンジンでファイバーグラス製ボディのRS200は、他のどの市販モデルとも似ておらず、競技用として一から設計された。

大きなポテンシャルを秘めていたことは間違いないが、世界ラリー選手権で使用されたのは1986年だけで、スウェーデンGPの3位が最高ランクだった。シーズン終了後にグループBのカテゴリーが廃止されたため、フォードのプロジェクトも中止となった。RS200はその後、ラリークロスやパイクスピーク・ヒルクライムで大成功を収めたが、果たして本望だったのだろうか。

 フォードRS200(1984年)
フォードRS200(1984年)

記事に関わった人々

  • AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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