マツダ・ロードスター 玄人好みの商品改良でどう変わった? NDのモデルライフ9年目へ(2)

公開 : 2024.02.11 20:25

モデルライフ9年目となる、ロードスターが改良を行いました。後継モデルが誕生してもおかしくないタイミングですが、事実上の長寿宣言では見た目より中身の変化が大きくあるようです。今回2回に分けて試乗記を配信します。

オトナっぽい進化、より上質になったRF

マツダが「大幅商品改良」を謳うロードスターの試乗会。今回我々はリトラクタブルハードトップを備えたRF RS/ベーシックなS/SレザーパッケージVセレクションの3台を試乗することができた。

まずはロードスターRFの最上級モデルであるRSから

今回RFが搭載する2Lエンジンの出力は変わっていないが、直付け2ピニオンのステアリングラックやアシンメトリックLSDといった初モノはちゃんと入っている。

改良を受けたマツダ・ロードスター試乗記
改良を受けたマツダ・ロードスター試乗記

最初に感じたのはアルカンターラとナッパレザーを使用した黒基調のインテリアの質感の高さだった。もともとRFはソフトトップのロードスターよりも上質な雰囲気を売りにしていた。そこに今回からステッチ入りの表皮でトリムされたセンターパネルが追加されたことで1クラス上の高級感を帯びている。

今回の試乗では従来のモデルも用意されており、新旧を乗り比べることができたのだが、そこではステアリングラック変更の効果がすぐに分かった。操舵に対する遅れがなくなっているし、路面からのフィードバックも増えている。

だが少しペースを上げていくと、ステアリング系統がシャープになったせいでロールが若干急なようにも感じた。RFはリトラクタブルハードトップのおかげでソフトトップより重心が高いので、本気で走るなら操舵を丁寧に、もしくはルーフを開けて走る必要がある(?)

ともあれRFの長所である”高級感”は着実に増していることが確認できた。

ロードスター最軽量、シンプルなS

2番目に乗り込んだモデルはロードスターSだった

ジルコンサンドメタリックという存在感はあるけれど悪目立ちはしないウグイス色が40代より上の世代でウケそう。

エントリーグレードのSは以前からLSDを装備していない。それでもステアリング系統は刷新されているし、1.5Lエンジンのパワーアップも反映されている。

改良を受けたマツダ・ロードスター試乗記
改良を受けたマツダ・ロードスター試乗記

RFを試乗した後だったこともあり、Sの走りは「軽さ」が印象的だった。今回の改良で990kgだったSもついに1トン越え(1010kg)に成長。それでもワインディングを走る限りクルマが重いという感じはしなかった。

軽快なドライブフィールの源泉は16インチのタイヤにあると見た。今回試乗した他の2台は路面を掴む感触が強く感じられる17インチ。対するSの16インチはショルダーが丸く、路面に軽く触れているような雰囲気なのだ。

2年前に追加されたロードスター990Sで好評だったKPC(キネマティックポスチャーコントロール)のおかげでコーナーにアプローチする際、リアの持ち上がりが抑えられている点も軽快感となって伝わってくる。

LSD装着モデルのようにペースを上げていっても挙動がピタッと安定しているわけではない。だが気持ちよくワインディングを流して走るようなごく一般的な走らせ方をするドライバーであれば、むしろLSDなしですっきりと曲がってくれるSの方がお薦めだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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