マツダ・ロードスター 玄人好みの商品改良でどう変わった? NDのモデルライフ9年目へ(1)

公開 : 2024.02.10 20:25

モデルライフ9年目となる、ロードスターが改良を行いました。後継モデルが誕生してもおかしくないタイミングですが、事実上の長寿宣言では見た目より中身の変化が大きくあるようです。今回2回に分けて試乗記を配信します。

NDロードスター、長寿宣言

モデルライフが9年目を迎えるというと「次」が登場してもおかしくないタイミングである。

ところが昨今はその「次」の動力源が純エンジンではなかったりするのでややこしい。だからだろうか、とりあえず延命というモデルも少なからずあるように思う。

改良を受けたマツダ・ロードスター試乗記
改良を受けたマツダロードスター試乗記

今回マツダ・ロードスターに込められた改良はまるで長寿の宣言のようにも受け止められるものだった。見た目に大きな違いはないが、実はコストが掛けられ、走りの根幹に関わるような改良も施されていたのである。

マツダは普段からこと細かに改良を行っているが、今回は理由あってのこと。それがサイバーセキュリティー対策である。グローバルモデルに適用されるこのルールは、新型車のみならず2024年以降も継続して販売される既存の車輛も対象となる。

今回の場合、電装系の核となる部分が変更されることもあり、お値段据え置きとはいかない。もちろんADAS(マツダレーダークルーズコントロール)等も追加されることになるが、それだけではロードスターのファンは納得しないはず。ならばこの機会にできることをやってしまえ! ということらしい。

改変の起点はMX-60用を流用した電装系である。その結果として、EPAS(電動パワステ)も変更されており、フィードバックが豊かになることで知られる2ピニオン式のステアリングラックが、ブッシュを介さず直付けされているという。それ以外にも話題盛りだくさんの今回のロードスター改変なのである。

内外装の変更点、よりも重要なものは?

先に挙げた装備以外に、セキュリティ対策に端を発する電装系の刷新によってスマート・ブレーキ・サポート(SBS-RC)も追加されている。これは15km/h以下で後退中に作動可能なブレーキ制御の機能である。

一方見た目の部分にも決して大きくはないが変更が施されている。前後ランプは外枠の形状こそ同じだが、デイタイムランニングランプ等の意匠が変わっている。ホイールも16/17インチともに新デザインになった。ボディカラーは既存の6色に加え、新たにエアログレーメタリックが追加されている。

改良を受けたマツダ・ロードスター試乗記
改良を受けたマツダ・ロードスター試乗記

室内で目を引くのは8.8インチに拡大されたマツダコネクトのディスプレイで、スマホとの連携も強化されているという。またこれまでは樹脂成型のままだったセンターコンソールのパネルにステッチ入りの表皮が張り込まれた点も目新しい。これはタンのような明るい内装色を選んだ場合に特に上質さを感じさせる装備といえるだろう。

だがロードスター・ファンが何より重要視しているのは「人馬一体の走り」に違いないし、開発陣もそこを熟知している。走りの要となる改変ポイントは4つある。

先のEPASに加え、1.5Lエンジンは国内ハイオクに合わせたセッティングで4psの出力アップ。MTモデルのDSC(ダイナミックスタビリティコントロール)にはDSC-TRACKと呼ばれるサーキット・モードが追加される。そして最後が新型LSDの搭載。ニュルで徹底的に煮詰めたという新機構とはどのようなものか?

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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