モダンクラシックとして再評価 マツダMX-5(ロードスター/NA系)  英国版中古車ガイド 最も成功したスポーツカー(2)

公開 : 2023.10.29 17:46

モダンクラシックとして英国で高評価を集める初代ロードスター 小さく軽いボディにツインカム4気筒 英編集部が中古車で魅力を再確認

高耐久なツインカム4気筒エンジン

初代マツダMX-5(ユーノス・ロードスター)のツインカム4気筒エンジンは高耐久だが、適切なメンテナンスを怠ると寿命を大幅に縮めてしまう。中古車を探す場合は、まず過去の整備記録を良く確かめたい。

定期的なオイル交換をサボっていると、始動時のタペットノイズが大きくなる傾向がある。だが、これに関しては深く心配する必要はないだろう。

マツダMX-5(ユーノス・ロードスター/NA系/1989〜1997年/英国仕様)
マツダMX-5(ユーノス・ロードスター/NA系/1989〜1997年/英国仕様)

タイミングベルトの交換は、9万6000km毎か6年毎が、英国仕様では指定されている。ただし、万が一ベルトが切れてもピストンとバルブがぶつかるようなことはない。

ショートノーズ・クランクプーリーに小さなボルトが用いられた初期の1.6Lユニットでは、クランクシャフトが破損することがある。プーリーに遊びがないか調べたい。回転数が安定しない場合は、エアフローメーターの交換で改善することが多い。

ヘッドガスケットの劣化は珍しくない。ラジエターの内部が詰まり、オーバーヒートを招くことで生じがち。ラジエター自体とクーラントの状態や、エンジンオイルがクーラントと混ざり乳化していないか、予め調べたい。

始動時の排気ガスの色もチェックポイント。水色や白っぽい場合は、エンジン内部が摩耗している証拠といえる。英国の場合、エンジンのリビルドには3600ポンド(約65万円)ほど必要になる。

モダンクラシックとして価値が上昇中

MX-5のボディは比較的錆びやすいが、スポーツカーが故に、事故歴を持つ車両も少なくない。正しく修復を受けているか、丁寧に観察したい。

走行距離が長くても、適正にメンテナンスされてきた車両なら、購入を見送る必要はないだろう。グレートブリテン島には、入念に手入れしながら30万km以上を走っているMX-5も少なくない。

マツダMX-5(ユーノス・ロードスター/NA系/1989〜1997年/英国仕様)
マツダMX-5(ユーノス・ロードスター/NA系/1989〜1997年/英国仕様)

逆に長期間乗られていないと、リアのブレーキキャリパーが固着するなど、違う不具合が生じてしまう。電気系統の信頼性は高いものの、放置していると不調になることも。リトラクタブル・ヘッドライトやエアコンなど、すべてが正常に動くか確かめたい。

オーナーの好みで改造されている例は多いが、今後の価値という点ではオリジナル状態の方が望ましいだろう。社外品のアルミホイールを履いている例は、一般的といえる。

マツダのカリフォルニア・オフィスに在籍していた、俣野努氏によってデザインされたスタイリングは、優しくカーブを描きシンプル。ブリティッシュ・スポーツカーの理想像を、タイムカプセルで残したような雰囲気を漂わせる。

近年は、モダンクラシックとして価値が上昇傾向にある。それを受け、2018年にマツダはMX-5のレストア・プログラムを始動し、オーナーを喜ばせた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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