新風を呼んだクロスオーバー ルノー・アルカナ E-テック 最終回 長期テスト

公開 : 2022.05.01 09:45

上級ブランドから火の付いたクーペSUV人気に、フランスのルノーも参戦。長期テストで実力を検証します。

積算5689km 便利なアダプティブ・クルコン

長期テストアルカナ E-テック Sエディションには、アダプティブ・クルーズコントロールが付いていて、とても便利。一方で、これが?という装備がなかったりする。

特に、シートヒーターとステアリングホイールのヒーターは、この価格帯なら是非欲しい。フロントガラスのデフロスターも、もう少し効きが良いとうれしい。ただし、エアコンのヒーターは強力。すぐに車内が温まる。

ルノー・アルカナ E-テック・ハイブリッド145 Sエディション(英国仕様)
ルノー・アルカナ E-テック・ハイブリッド145 Sエディション(英国仕様)

積算7296km もう少し広くて良い車内空間

ルノー・アルカナの英国版パンフレットでは、1960年代の名車、ルノーR16が魅力を伝える例として登場している。カーデザイナーのフィリップ・シャルボノー氏が手掛けた、美しく高級感あるスタイリングの5ドア・ハッチバックだ。

そのR16は、サルーンとステーションワゴンとの融合だった。一方のアルカナは、クーペとSUVとのミックス。車高は違えど、ルーフラインは確かに似ているかもしれない。

ルノー・アルカナ E-テック・ハイブリッド145 Sエディション(英国仕様)
ルノー・アルカナ E-テック・ハイブリッド145 Sエディション(英国仕様)

一方、広い車内空間で実用性に長けたR16と比べると、アルカナは少々手狭。ひと回り大きいカジャーではなく、小さなキャプチャーをベースにしたことが原因だろう。

特にフロントシート側は、横幅がもう少し欲しい。リアシート側も、もっと広くて良かった。12才の長女がリアシート中央に座ると、頭が天井に触れそうになっていた。

また、筆者は子どもを学校まで送り迎えしているのだが、硬めの乗り心地に不満を漏らすことがあった。シートベルトのバックルも、子どもには締めにくいようだ。

カーブの続く道で効果的な足まわり

乗り心地は、高速道路くらいまで速度を上げると落ち着いてくる。だが、市街地では揺れを抑えきれない。大きな隆起部分などを通過すると、不快に感じることもあった。

そのかわり、硬めの足まわりはカーブの続く道で効果的。全高が比較的高いクロスオーバーとしては、能力は高い方だといえる。

ルノー・アルカナ E-テック・ハイブリッド145 Sエディション(英国仕様)
ルノー・アルカナ E-テック・ハイブリッド145 Sエディション(英国仕様)

ボディロールは限定的。グリップ力に長け、速めのスピードでも安心感は高い。シートのサイドサポートがシッカリしていて、ステアリングホイールの感触が明瞭なら、さらに満足度は増すだろう。

長期テストのアルカナは、E-テックと呼ばれるハイブリッド。積極的に48psの駆動用モーターで走ろうと努めてくれる。駆動用バッテリーの充電量が充分なら、活発に加速し滑らかで静か。洗練されていると感じる。

反面、容量が1.2kWhと小さく、モーターだけで走れる距離は限定的。そうなると、94psを発揮する1.6Lガソリンエンジンの出番。こちらは少々ノイズが目立つ。結果的には、エンジンの出番が多いようだ。

ハイブリッドの特性に合わせて運転スタイルを工夫すると、改善はできる。下り坂では回生ブレーキが強くなるBモードを選び、積極的に充電。優しくアクセルを操作すれば、エンジンを始動させず長時間走れる。

6速ATにはマニュアル・モードやシフトパドルがなく、変速が機械任せなのは残念なポイント。高速道路では、15.0kg-mというトルクの細い自然吸気エンジンに気を揉むことも。それでも、100km/h程度なら質感良くクルージングできる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アラステア・クレメンツ

    Alastair Clements

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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