Jr.スーパーカーの煌き フェラーリ328 ランボルギーニ・ジャルパ ロータス・エスプリ 3台を比較 後編

公開 : 2023.02.05 07:07

フェラーリとランボルギーニが提供していたジュニア・スーパーカー。同時期のロータスとともに、英国編集部が魅力を振り返りました。

重さを補うたくましいV8エンジン

ゼネラル・モーターズ傘下にあったロータスが得た資金は、エスプリの外からは見えない部分に注がれている。スチール製バックボーン・シャシーを覆うグラスファイバー製ボディは、真空アシスト・レジン・インジェクションという新技術で成形されている。

これにより、ロータスは1日6台のボディを作ることが可能になった。ルーフやボディサイドはケブラーで補強され、サイドシルにはグラスファイバーで包まれたポリウレタンが追加され、ねじり剛性も大幅に高められていた。

ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)
ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)

そのかわり車重は増えて、1386kgある。従来的なスペースフレーム構造を取るフェラーリ328 GTSは、1325kgに留めていた。

対するランボルギーニ・ジャルパは、1407kgとさらに重たい。負荷を受け止めるスチール製ボディのセミモノコック構造という、先進的な構造を採用しているのだが。発売が1973年と少々古い、ランボルギーニ・ウラッコの発展型だったことが影響している。

そのかわり、エンジンのたくましさが補った。フェラーリの自然吸気が5500rpmまで吹け上がり、ロータスのターボが9.5psiまでブースト圧を高める間に、ランボルギーニのV8エンジンは即座に豊かなトルクを湧出させる。

右足を傾けた次の瞬間、選んでいるギアに関わらず、3500rpmから31.8kg-mのトルクが路面へ放たれる。雷鳴のような轟音に包まれながら、猛烈な加速力のなかに身をおける。荒涼とした渓谷を越えて、地平線まで目指せそうな勢いが続く。

グランドツアラーとしてのジャルパの能力

5速マニュアルのトランスミッションは、当時のカウンタックより明らかに好印象。シフトレバーの動きは他の2台ほど滑らかではないものの、ギア比はショートで、片手で心地良く変速を繰り返せる。

ステアリングのレシオはスロー。ロックトゥロックは4.2回転もあり、鋭い回頭性は得られない。超が付くほどクイックな反応のフェラーリや、ややスローでもリニアな反応のロータスと、面白い対比を生んでいる。

ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)
ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)

ジャルパのペダルレイアウトもオフセットしている。足先で操ることでの喜びは薄く、ワイルドなV8エンジンを開放するための機械的なインターフェイスでしかない。

ブレーキペダルの踏み心地は、3台で最もソフト。ボディサイズと車重を考えると、よりソリッドな感触と確かな制動力が欲しい。

これらの操縦系が、優れたシャシーバランスを宿しているという、ランボルギーニの真実を覆い隠している。実際に試せば、ドライビング体験は想像以上に甘美といえる。

高速域での乗り心地は良好。車内空間は328 GTSやエスプリ・ターボより広く、シートの座り心地も快適。とはいえ、小柄で細身なドライバー向きのレイアウトではある。

ジャルパを運転していると、グランドツアラーとしての能力をひしひしと感じる。ドーバー海峡を超えて、温かい南フランスまで走っていけそうな気になる。実際はギア比が低いため、高速走行時の車内はうるさく、燃費も伸びないのだが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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