Jr.スーパーカーの煌き フェラーリ328 ランボルギーニ・ジャルパ ロータス・エスプリ 3台を比較 後編

公開 : 2023.02.05 07:07

SF風スタイリングに驚くほどの快適性が融合

抑揚の強いスタイリングで、ジャルパは2台以上に強い個性を印象付ける。ベビー・ランボルギーニへの期待通りといえるが、1974年にマルチェロ・ガンディーニが提案したミニ・カウンタック、ブラーボ・コンセプトとも明らかに異なる。

その起源になったのは、ベルトーネ社が1980年に発表したアントンというスパイダーのコンセプトカー。手掛けたのはフランス人デザイナーのマルク・デシャン氏で、角張ったホイールアーチとディスク状のOZホイールが目を引く。

ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)
ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)

オリジナルのデザインでは、テール部分に加えられたスポイラーは控えめだった。だが、量産間際にカウンタック風の大げさなリアウイングが追加されたという。1984年には、丸い穴の空いたテレダイヤル・デザインのホイールがオプションで設定された。

コンセプトカーとは異なり、ジャルパのオープントップ版は実現しなかった。またベルトーネが関わった、最後のランボルギーニにもなった。

ランボルギーニの新オーナーが事業拡大のために選んだ、苦肉の策といえたジャルパだが、SF風のアバンギャルドなスタイリングに、驚くほどの快適性が融合していることは間違いない。荷室も充分大きく、パッケージングとしては成功と呼べるだろう。

良い意味で裏切るシニアなスーパーカー

対してエスプリは、1976年のS1でデザイン的な名声を掴んでいた。それを洗練させ、生産効率を高めたX180型は、モデルライフの大幅な延長に貢献した。最終的に2004年まで、軽さを追求したロータスのフラッグシップ・スーパーカーを担った。

どちらも、改めて運転する価値のあるジュニア・スーパーカーだが、フェラーリ328 GTSの鮮烈さには及ばない。背筋がゾクゾクするようなサウンドと、繊細な手のひらへの感触、全身で感じ取れるコーナリングラインは、ライバルを明らかに凌駕する。

上からフェラーリ328 GTS、ロータス・エスプリ・ターボ、ランボルギーニ・ジャルパ
上からフェラーリ328 GTS、ロータス・エスプリ・ターボ、ランボルギーニ・ジャルパ

小さなボディに魅力的な能力を詰め込んだ328 GTSは、従来にないほど運転しやすいフェラーリでもあった。「ジュニア」という言葉が想起させる内容を良い意味で裏切る、シニアなスーパーカーだといっていい。

1980年代のジュニア・スーパーカー 3台のスペック

フェラーリ328 GTS(1985〜1989年/英国仕様)

英国価格:4万2732ポンド(1988年時)/10万ポンド(約1600万円)以下(現在)
販売台数:7412台
全長:4255mm
全幅:1730mm
全高:1128mm
最高速度:246km/h
0-97km/h加速:5.5秒
燃費:6.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1325kg
パワートレイン:V型8気筒3185cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:269ps/7000rpm
最大トルク:30.9kg-m/5500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

ロータス・エスプリ・ターボ(1988〜1993年/英国仕様)

英国価格:2万9950ポンド(1988年時)/4万ポンド(約640万円)以下(現在)
販売台数:2281台(エスプリ・ターボ)
全長:4331mm
全幅:1859mm
全高:1151mm
最高速度:241km/h
0-97km/h加速:5.4秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:−
車両重量:1386kg
パワートレイン:直列4気筒2174ccターボチャージャーDOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:218ps/6000rpm
最大トルク:30.3kg-m/4250rpm
ギアボックス:5速マニュアル

ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)

英国価格:4万3656 ポンド(1988年時)/10万ポンド(約1600万円)以下(現在)
販売台数:410台
全長:4330mm
全幅:1880mm
全高:1140mm
最高速度:231km/h
0-97km/h加速:6.2秒
燃費:5.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:1407kg
パワートレイン:V型8気筒3485cc自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:258ps/7000rpm
最大トルク:31.8kg-m/3500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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