現ラインナップで最高の選択肢 BMW M340i ツーリング 求めるすべてを叶えるワゴン(2)

公開 : 2023.10.28 17:46

英国編集部での評価が高い3シリーズのステーションワゴン 自分が求める内容と驚くほど一致するクルマ 数か月をともに過ごした印象とは?

頼もしい制動力 高速での燃費は14.2km/L

筆者が最初に発見した、BMW M340i xドライブ・ツーリングの惜しい部分は、助手席に調整可能なランバーサポートが備わらないこと。プレミアムブランドのモデルで、コンフォートパッケージ・プラスというオプションが実装されているにも関わらず。

5640kmを走ったヨーロッパ大陸への自動車旅行では、妻にナビゲーターを任せ、すべての行程を自ら運転した。自宅に戻って初めて、助手席の快適性が運転席より確実に劣ることへ気がついた。驚いてしまうほど。

BMW M340i xドライブ・ツーリング(英国仕様)
BMW M340i xドライブ・ツーリング(英国仕様)

移動は基本的に高速道路。バルカン半島の交通法規を大きく侵さない範囲で、可能な限り短時間に次の目的地を目指した。スロベニアで警察から事情聴取を受けたものの、スピード違反で切符を切られることはなかった。

走行速度はご想像いただきたいが、燃費は平均で14.2km/L。遅いクルマの追い越しを活発にこなした影響か、郊外の一般道では12.4km/Lへ落ちてしまったが、充分に褒められる数字だろう。

1度の満タンで走れる距離は約640km。流石にこれだけ走れば、ドライバーもしっかり休憩したくなる。

2週間の旅で、M340i ツーリングの頼もしさを最も強く感じたのは、サラエボでの出来事。制御不能になった大型トラックが、反対車線へヨロヨロとはみ出してきたのだ。ブレーキペダルへ力を込めると、まっすぐ短距離で静止し、幸いにも衝突は免れた。

これには、筆者もかなりドキドキした。妻のハンドバッグの中身が、足元へ転げ落ちただけで済んだ。

ゾーンに入る静けさと快適さ

別の旅先では、車中泊もしてみた。最近はすっかりご無沙汰していたが、クルマの中で眠れない夜を過ごす感覚を、久しぶりに思い出した。

ル・マン・クラシックという、フランスで開かれるクラシックカー・レースへ、M340i ツーリングで向かったのだ。一応ホテルは予約していたものの、夜のスティントもドライバーとして出番があり、結局サーキットの駐車場で過ごした。

BMW M340i xドライブ・ツーリング(英国仕様)
BMW M340i xドライブ・ツーリング(英国仕様)

荷室は筆者には狭すぎた。フロアは固く、荷物も多く残っていた。結果的に、一番快適に休めそうだと思えたのが助手席。疲れていたのでウトウトしつつも、インフォテインメント用タッチモニターが消えず、明る過ぎて眠りにつくことはできなかった。

レースを終えた翌日、殆ど眠れていない状態でM340i ツーリングへ戻ると、根底にある素晴らしい魅力を改めて実感することになった。深呼吸して、約1000km離れた自宅を目指すべく、ステアリングホイールを握る。

休憩を挟むよう、車載機能のアラームが鳴る。しばしクルマを停めて、再び走り出す。ふと、しっかり休憩を取ろうと感じたのは、自宅まで残り10分程度の地点。静かで快適で、ある種のゾーンに入っていたようだった。

M340i ツーリングは速いだけでなく、エネルギー効率も悪くない。滑らかで、運転も非常にしやすい。筆者がクルマへ求めるすべてを叶えているといっていい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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