史上最も多能なワゴン アルピナB3 ツーリングへ試乗 直6ツインターボは495psへ

公開 : 2022.12.18 08:25

BMW 3シリーズに合わせて、B3もアップデート。完璧といえたモデルがどう進化したのか、英国編集部が確かめました。

3シリーズに合わせてB3もフェイスリフト

アルピナは、超高速な3シリーズ・ツーリングを長きに渡って生み出してきた。初代の登場は、BMW 3シリーズがE36型だった1990年代。6気筒エンジンのアルピナB3 ツーリングだけでなく、4.6L V8エンジンを搭載したB8 4.6 ツーリングも作られている。

しかし、アルピナ1択という時代は終わりが近い。BMW初となる、M3 ツーリングがあと数か月で正式発表される。M社が手掛けたステーションワゴンが、魅力的で度肝を抜くほど速いことは間違いないだろう。

アルピナB3 ツーリング(英国仕様)
アルピナB3 ツーリング(英国仕様)

だとしても、ポルシェ911に迫る動的能力を備えたDセグメント・ワゴンを検討している人にとって、最新のB3 ツーリングは最有力候補になる。選択肢から外すなど、今後も間違ってもしない方が良いだろう。

ご存知の通り、BMWはG20型3シリーズにフェイスリフトを施した。アルピナもB3のスタイリングへ僅かに手を加え、エンジンのパワーとトルクを引き上げている。空力特性だけでなく、冷却機能も改善された。完璧なモデルを、より完璧にするべく。

AUTOCARでは2022年の初めにサルーンのB3へ試乗し、感銘を受けた。とはいえ、英国人にとってB3といえばツーリング。フェイスリフト前のB3は英国で88台が売れているが、そのうちの79台はツーリングだったそうだ。

改めて、導入台数の少なさにも驚く。価格が高いことと、ブランドの認知度があまり高くないことが影響しているのだろう。そのぶん、M3より遥かに希少価値も高い。G20型B3の英国での登録台数は、マクラーレン・セナと同程度なのだ。

わかりやすい違いはバンパーと2連モニター

従来との違いは大きくない。1番わかりやすい見た目上の変化は、アグレッシブさを増したフロントバンパー。インテリアでは、ダッシュボード上の2面繋がった大きなモニターパネルが目を引く。

実装されるインフォテインメント・システムも、iドライブのバージョン8へ更新されている。モニターに表示されるクルマのイラストも、実際のボディ形状とカラーで描かれるようになった。

アルピナB3 ツーリング(英国仕様)
アルピナB3 ツーリング(英国仕様)

メカニズムは殆ど変わっていない。四輪駆動が標準だが、M340iと比較すると、前後のトルク配分が均等へ近づくようチューニングを受けている。300km/h近い速度でアウトバーンを疾走する場合、この方がベターだからだ。

定番のZF社製8速ATと組み合わされるエンジンは、アルピナ独自の冷却システムが組まれた、3.0L直列6気筒ツインターボ・ガソリン。トランスミッションとディファレンシャルの冷却性能も強化されている。

ステアリングホイールの操舵感は、フェイスリフト前より若干重くなった。だが、直接比較しなければ気付かない範囲。内容としてはこの程度だ。

試乗車には、人気であろうオプションの殆どが装備されていた。なかでも、20インチの鍛造マルチスポーク・アルミホイールは最も選ばれる率が高いはず。少しクラシカルで、とてもカッコいい。

標準の19インチ・ホイールとの乗り心地の違いは、どの程度あるのだろうか。少なくとも、アルピナが英国向けに指定した空気圧で調整されたピレリタイヤは、肉薄な見た目よりも衝撃を丸めていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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