ロードテスト ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2020.01.18 11:50  更新 : 2020.01.20 06:36

走り ★★★★★★★☆☆☆

ランドローバーにとって、ストップウォッチでの計測は一般的にあまり得意な項目でない。しかし、ディスカバリー・スポーツのような現在のモデルは、それなりに速く、ドライバビリティにも優れ、もっと普通の乗用車から乗り換えたドライバーの期待にも応えられる。

過去のモデルであれば、早々と脱落する領域だ。それが積んでいたフォード由来のディーゼルを、われわれは当時「古さを感じさせる騒々しさとスモークが、このクルマのすべてに影を落としている」と評している。

9速ATはビジー。電気モーターがパフォーマンスにもたらす恩恵は感じられなかった。
9速ATはビジー。電気モーターがパフォーマンスにもたらす恩恵は感じられなかった。    OLGUN KORDAL

モデルライフ中盤で導入され、ダウンサイジングを果たしたJLR内製のインジニウムディーゼルでは、事態の改善がみられ、EU6にも適合した。しかしライバル、とくにドイツ勢のそれには、スムースさでまったく及ばない。

マイルドハイブリッドの追加にパフォーマンスの劇的な変化を期待する向きは少ないだろう。実際、2.0Lターボディーゼルを積むプレミアムオフローダーとしては、このディスカバリー・スポーツはやはり速い部類ではない。

四輪駆動により、湿った路面でもトラクションで困ることは決してない。しかし、2t前後もある車両重量もあって、0-97km/h加速で今回のD180が10秒を切ることはできなかった。

走り出してからのスロットルレスポンスも、際立ってクイックではない。もっとも、本格オフロード性能を備えたファミリー向けSUVの顧客が、フラストレーションを感じるほどダルい走りというわけでもない。

1500~3000rpmのトルクバンドにあれば、D180の走りは上々。ただし、9速ATはビジーで、最適なレシオを探しての変速に時間を費やす。そのため、急加速でのオーバーテイクは避けるのが賢明だ。

トランスミッションのソフトウェアは、低速でも連続的な変速を必要とする。そして、シフトダウン時には小さいながらも体感できる変速ショックが、ドライブラインから伝わってくる。

全体的に、電気モーターによるトルク補填がパフォーマンスにもたらす恩恵を、少なくともテスターたちは感じられなかった。また、重量のあるD180は、BMW X3 20dやボルボXC40 D4に匹敵するドライバビリティに欠けている。

それでも、ディスカバリー・スポーツには違う強みを新たに見いだせた。それは、この後の項で説明していくこととしよう。

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