V10搭載ウラカンも最終章 ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ 最高到達点といっていい完成度

公開 : 2024.03.14 17:45

ウラカンの最終モデルとも言える「テクニカ」

しかし、ウラカン・テクニカの白眉は、なんといってもキャビン後方に搭載されたV10エンジンにある。

そのサウンドは、デビュー当時のウラカンに比べると一段と洗練されてスムーズな音色になっており、美しいハーモニーを生み出してキャビンを満たしてくれる。迫力あるメカニカルサウンドでドライバーを圧倒するSTOとはひと味もふた味も異なる“味わい”で、その官能性は、V12エンジンに比べても遜色がないといってもいいくらいだ。

ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ
ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ

エンジンの出力特性やレスポンスも申し分がない。

「自然吸気エンジンはレスポンスが鋭い」という声をよく耳にするが、スロットルペダルを踏み込んでからパワーが沸き出すまでの時間という意味でいえば、最新のターボエンジンのほうが自然吸気エンジンのレスポンスを上回る例が少なからず見られる。

しかし、自然吸気エンジンの本当の魅力は、テクニカのコーナリングと同じように、人間の自然な感覚とマッチしていて、期待を決して裏切らない点にある。トルクの立ち上がり方もリニアで、ドライバーが望むパワーをいつでも的確に発揮してくれる。この、エンジンの予想しやすい特性こそがシャシー性能をフルに引き出すうえで大いに役立ち、スポーツドライビングの醍醐味を味わううえで重要な柱になっていると私は信じる。

いずれにせよ、ウラカン・シリーズの実質的な最終モデルとして誕生したテクニカは、V10ミッドシップ・ランボの最高到達点といっていい完成度を誇っている。

しかし、V10自然吸気エンジンを積むランボルギーニの歴史はこのウラカン・テクニカをもってピリオドが打たれ、2024年後半にはプラグイン・ハイブリッドシステムを搭載したニューモデルが誕生する。

これだけ熟成されたV10エンジンが消え去るのはいかにも寂しいが、それと入れ替わるようにして登場するニューモデルがどのような官能性をわれわれにもたらしてくれるのか、大いに期待したいところだ。

試乗車のスペック

価格:2999万2916円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4567×1933×1165mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃料消費率:14.5L/100km(WLTP)
CO2排出量:328g/km(WLTP)
駆動方式:MR
車両重量:1379kg
パワートレイン:V型10気筒5204cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:640ps/8000rpm
最大トルク:65.26kgkg-m
ギアボックス:7速オートマティック
タイヤサイズ:245/30R20(フロント)305/30R20(リア)

ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ
ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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