マツダ・デミオXDツーリング

公開 : 2015.02.03 23:40　　更新 : 2017.05.29 19:13

■「買い」か?

コンパクトカーのカテゴリーにおける競合車と比較しても、デミオのキャラクターは際立っている。それはSKYACTIV-Dというパワー・ユニットの存在以上に、クルマ造りのコンセプトが明快だからだ。

アクアが搭載するハイブリッド並みの静粛性や、フィットの特徴であるセンタータンク・レイアウトがもたらす内装の広さといったものはデミオにはない。後席の居住性や積載性といった点では、これら競合車に比べてデミオははっきりと不利だ。しかし、それでいい。なぜならばデミオにはもっと優先されるべき事柄があるからだ。

運転席および助手席に座る乗員の目線で考えれば、デミオのドライビング・ポジションや優れた視界、力強いSKYACTIV-D、そして魂動デザインを具現化したスタイリングはデミオ独特のチャームポイントである。さらに上級グレードのLパッケージで選択できるインテリアは手触りや見た目にも優れ、従来の国産コンパクトカー・クラスでは感じることのできなかった所有満足感を与えてくれることは間違いない。

コンパクトカーのジャンルに、目には見えにくい部分まで質感を高め、プレミアムという定義を持ち込んだマツダ・デミオ。その完成度の高さにあらためて感動させられると同時に、マツダが誇る魂動デザインやSKYACTIVという総合技術のさらなる発展を確信する1台だ。

(文・佐橋健太郎　写真・前田恵介)