メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボII(2) 1992年に奪取したDTM優勝 走行中は驚くほどジェントル&コンフォート

公開 : 2026.11.08 17:50

ドイツのツーリングカーレース優勝を目指し誕生した、メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII。過激な容姿ながら、操縦性は意外なほど落ち着いているようです。UK編集部が魅力を探ります。

タイトル奪取へ全力を注いだメルセデス・ベンツ

1990年のドイツ・ツーリングカーレース(DTM)で、BMW M3と接戦を繰り広げたメルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションIIだが、新たな敵も加わっていた。V8エンジンを積んだ、アウディのV8クワトロ・サルーンだ。

エボリューションIIは最終戦までタイトルを狙える位置にあったものの、アウディへ惜敗。続く1991年も、アウディが連覇する。翌シーズンでグループAが終了し、クラス1への移行が決まったことで、メルセデス・ベンツはタイトル奪取へ全力を注ぐ。

メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII(1990年/欧州仕様)
メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII(1990年/欧州仕様)    Luis Duarte(ルイス・ドゥアルテ)

1992年仕様のエボリューションIIは、365psへ増強。ケケ・ロズベルグ氏にベルント・シュナイダー氏、ジャック・ラフィット氏、クラウス・ルートヴィヒ氏という錚々たるドライバーがステアリングを握り、悲願のシリーズ優勝を奪っている。

公道仕様の190E 2.5-16 エボリューションIIは502台が生産され、塗装はエボリューションと同様にブラウシュヴァルツ(ブルー・ブラック)のみ。後にアストロ・シルバーで塗られた2台も作られ、1台はAMG、もう1台はメルセデス・ベンツ博物館が保有している。

ベルリンに溢れていたタクシーと殆ど同じ車内

そんなホモロゲーション・マシンを、筆者はポルトガル中部の山岳地帯で走らせている。雄大な大自然から浮いた姿に思えるが、キャビンは落ち着いた190Eの延長にある。

シートは身体をしっかり支えつつ、前を向いている限り、かつてのベルリンに溢れていたタクシーと殆ど車内の雰囲気は同じ。シフトノブにシリアルナンバーが刻まれているが、握ってしまえば見えない。後方視界は、巨大なウイングで限られている。

メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII(1990年/欧州仕様)
メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII(1990年/欧州仕様)    Luis Duarte(ルイス・ドゥアルテ)

村の中心部を流せば、カーニバルの主役にでもなったような気分。この見た目だから、仕方ない。ところが実際に運転してみれば、驚くほど親しみやすい。

走行中もジェントルな2.5L 4気筒エンジン

2.5L 4気筒エンジンは、周囲を威嚇するようなノイズなしに始動し、走行中もジェントル。メルセデス・ベンツらしい品格にある。7800rpmのレッドゾーンまで回して峠道で駆り立てても、荒々しさは感じられない。

アクセルレスポンスは鋭敏で、意欲的に回転数は高まる。4000rpm前後から、耳へ届く吸気音に胸が踊る。中域までトルクは細く、勢い付くのは5000rpm以降だが、猛烈な速さとはいえない。0-97km/h加速は7.1秒、最高速度は249km/hが主張されていた。

メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII(1990年/欧州仕様)
メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII(1990年/欧州仕様)    Luis Duarte(ルイス・ドゥアルテ)

ゲトラグ社製の5速MTは、シフトレバーの動きが渋く、引っかかるような手応えがある。相当乱雑にゲートへ押し込まない限り、シフトミスは起きなさそうだが。

ステアリングはボール&ナット式で、低域では軽いものの、速度が乗ってくると重さが増し、ダイレクト感が強くなる。ロックトゥロックは3回転から2.8回転へ、僅かにクイック化されているのも効いている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ヘーゼルタイン

    Richard Heseltine

    英国編集部ライター
  • 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の英国の自動車雑誌『AUTOCAR』(1895年創刊)。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションIIの前後関係

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