EQCを間もなく置換 メルセデス・ベンツGLC EV 新技術満載の試作車へ試乗 発表は9月
公開 : 2025.03.15 19:05
車内空間は拡大 滑らかで意欲的な加速
デザインでお伝えできることは限られるが、車内が既存のGLCと異なる雰囲気なことは間違いなさそうだ。むしろ、そのエンジン版がフェイスリフトを受け、ワイドなモニターパネルや最新のインフォテインメント・システムを獲得する可能性は高い。
とはいえ人間工学は、既知のメルセデス・ベンツへ通じるもの。運転姿勢も同様だろう。MB.EAプラットフォームの効用として、ホイールベースは僅かに長く、エンジン版より後席側の空間にはゆとりが生まれている。

荷室は、560Lと広い。フロント側にも、100Lのフランクが設けられる。
スタート地点は、ガルティスプーダ峠の頂上付近。発進させて2kmも過ぎれば、eATS 2.0パワートレインの意欲的な能力を理解できる。四輪駆動システムの反応は高速で、電子制御のアシストも相乗し、トラクションは揺るぎない。
間違いなく滑りやすいコンディションでも、加速力には驚かされる。スタビリティ・コントロールは、運転の邪魔をすることなく、裏方として見事にスムーズな前進を維持してくれる。
ヴォークトの説明では、オペレーティング・システムの刷新で、CPUとネットワークの処理量を大幅に削減できたとのこと。より円滑・迅速に、タイヤへ伝わるパワー調整が可能らしい。実際、GLC EVは圧雪路でスルスルと速度を高めていく。
車重や全高を感じさせないほど機敏な旋回
それ以上に印象的なのが、コーナリング。車重や全高を感じさせないほど、機敏なのだ。ステアリングは適度に軽く、反応は正確。後輪操舵システムも実装され、最大4.5度までリアタイヤは向きを変える。フィードバックが濃く、操る自信を高めてくれる。
カーブの出口付近で凍結していた区間があったが、そこでもまったく動じず。至って安定していた。

クルマの様子を見ながら、徐々に速度域を高めていく。そろそろ限界かな、と感じるところまで加速させても、身のこなしは躍動的。バランスに優れることも明らか。タイヤは、一般的なスタッドレスなのにも関わらず。
サスペンションは、前がダブルウイッシュボーン、後ろが5リンクの構成で、エアスプリング。姿勢制御や乗り心地へ触れるには時期尚早ながら、洗練度は非常に高い。既存のEQCより遥かに優れる、動的能力と精度を宿すことは疑いようがない。
新しいブレーキは、ややペダルの感触が曖昧かもしれない。回生ブレーキの強さは、シフトセレクターの位置で調整可能。物理ブレーキを使わず、急ブレーキをかけた勢いで速度を落とすこともできる。その効率の高さも、特筆すべき点だろう。
新しいGLC EVは、ドイツ・ブレーメンと中国・北京の工場で生産が計画されている。だが、トランプ政権の関税政策により、アメリカ・タスカルーサ工場で生産される可能性もあるだろう。