メルセデスはやはりメルセデスであった、という話【新米編集長コラム#32】

公開 : 2025.06.01 11:45  更新 : 2025.06.01 12:18

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第32回は、GLC350eとE300という2台のメルセデス・ベンツ試乗を通じて感じた話です。

今メルセデスの中心にあるGLC

メルセデス・ベンツの基幹車種といえば、かつてはCクラスEクラスSクラスという確固たるラインがあり、そこにコンパクトなAクラスが加わって……というものであった。しかし、BMWにおいて現在一番売れているのがX3であるように、今メルセデスの中心にあるのがSUVのGLCだ。

初代GLCは2015年にデビューし、2016年2月に日本導入。2020、2021年にはグローバルで『メルセデス・ベンツにおけるベストセラーSUV』になるほど成長。2022年には現行モデルとなる2代目が登場し、2023年3月に日本導入。2024年には『日本で最も売れたメルセデス・ベンツ』となり、市場ニーズと完全に合致した。

2024年には『日本で最も売れたメルセデス・ベンツ』となったGLC。
2024年には『日本で最も売れたメルセデス・ベンツ』となったGLC。    平井大介

そこで、日本自動車輸入組合(JAIA)のデータを拾ってみた。確かに2024年は7047台の新車が登録され、車種別のランキングでも2位に入っている。遡ると、2023年はモデルチェンジがあったとはいえ4577台だから、大幅な躍進だ。ちなみに先代で最高は2018年の6316台なので、2024年は過去最高にもなった。

そこで今回は、『メルセデス・ベンツGLC350e 4マチック・スポーツ・エディションスター』をお借りして、数日間試乗させて頂いた。

現在GLCは、2L直列4気筒ディーゼルの220dと、2L直4ガソリンエンジン+モーターのAMG名義である43(ハイブリッド)と63(プラグインハイブリッド)が用意される。350eは2L直4ガソリンエンジン+モーターのプラグインハイブリッドだ。エンジン、モーターのシステム合計最高出力は313ps/550Nmとなっており、これに9速ATを組み合わせている。

1990年代後半、W124やR129のSLあたりを思い出した

乗りはじめてまず気が付いたのは、アクセルペダルの反応であった。踏み込んでも過剰に反応せず、加速するためには加速したいだけちゃんと踏む必要があるのだ。ただしこう書けるようになったのは慣れたからであって、最初は一気に速度があがることなくジワっと進む感じに、若干戸惑ってしまった。

近年のメルセデスは触れる機会が少なく久しぶりの試乗となったが、この感じは個人的に初めて乗った1990年代後半、W124やR129のSLあたりを思い出し好感を得た。なるほど、これはメルセデスだ……と。

全幅1920mmは街中で大きく感じたが、どこかメルセデスに乗っているという高揚感もあった。
全幅1920mmは街中で大きく感じたが、どこかメルセデスに乗っているという高揚感もあった。    平井大介

また、感心したのはステアリングの切れ角だ。駐車したコインパーキングの前が狭い道だった際、多くのクルマが数回切り替えしそうなところを、一回で脱出できたのには感動した。実はこれも伝統的な部分で、過去何度も「さすがはメルセデス」と唸ってきた部分だ。

視界の高いGLCは見切りもよく、全幅1920mmはさすがに街中で大きく感じたものの、どこかで『メルセデスに乗っている』という高揚感もあり、気持ちよく走ることができた。また、相性がいいのか、ステアリングを握りながら肘がちょうどシートのサイドサポートにかかるため、長距離でも腕を休めながら運転できたことも好感度があがった部分であった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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