新型ホンダCR-Vのデザイナーに訊く、エクステリアとインテリアのせめぎ合い!【大事なのは人も荷物もきちんと積めること】

公開 : 2025.12.11 11:45

クーペSUVではCR-Vになれない

CR-Vのアイデンティティである縦型テールランプは踏襲したい。だが、開口部は狭くなる。かといって、広げすぎるとミニバン的になってしまう。ここでも、カッコ良さ(エクステリア)と使い勝手(インテリア)のせめぎ合いがあった。

テールゲートの角度も、ミリ単位で検討。荷物を少しでも多く積むためにはテールゲートを立てたいが、それではライトバン的でスタイリッシュでなくなる。そこで、テールランプの角度をテールゲートよりもわずかに寝かせて、実際よりもテールゲートが傾斜しているように見せている。

今年で30周年のCR-V。こちらの歴代イラストも佐藤氏が描いたそうだ。
今年で30周年のCR-V。こちらの歴代イラストも佐藤氏が描いたそうだ。    平井大介

開発が始まった頃の話に戻るが、初期段階では様々なエクステリアデザインが出された。その中には、最近流行している『クーペSUV』的なデザインもあった。だが「これはCR-Vじゃない」、「人も荷物もきちんと積めることがCR-Vらしさ」と却下されたそうだ。

また、SUVというと最近では筋肉質、あるいは力強いといったイメージを強調するかのように、プレスラインや大げさなフェンダーアーチなどを装着するモデルが増えている。だが新型CR-Vでは、ホンダらしくシンプルな造形の中に力強さや洗練、上質、大人らしさを凝縮して表現した。SUVに対するイメージとしては二分されるところだが、永く付き合うには、こちらのほうが合っているように思う。

日本では、ホンダSUV4兄弟の長男としてカムバックしたCR-V。その『せめぎ合い』から生まれたこだわりのデザインは、ぜひ実車で確かめてもらいたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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