【ホンダCR-V e:HEV】北米導入から3年以上遅れでなぜ今?次世代ハイブリッドに向けたかけ橋 #JMS2025

公開 : 2025.10.29 08:00

ホンダはジャパンモビリティショー2025で、『CR-V e:HEV』の日本導入を発表しました。これまで燃料電池車のみでしたが、北米市場導入から3年以上遅れで、なぜ今なのでしょう?桃田健史が解説します。

パワートレインは2本立てに

ついに、『ホンダCR-V』のハイブリッド車(e:HEV)が国内販売される。CR-Vの日本仕様は現在、燃料電池車(e:FCEV)のみをラインアップしているが、今後はe:HEVを加えてパワートレインは2本立てとなる。

1995年に初代が登場し、現行車は2022年に主に北米市場向けに6代目となったCR-V。北米仕様CR-Vは、ターボエンジン搭載車とe:HEVの2本立て。北米の市場性を考慮した価格帯と、燃費と排ガスなど法規制への対応など日本仕様とは違いがある。

ホンダCR-V e:HEVプロトタイプ
ホンダCR-V e:HEVプロトタイプ    本田技研工業

そうした中、国内向けでは2024年にCR-V e:FCEVが導入されたものの、価格は800万円を超える高級SUVであり、『WR-V』、『ヴェゼル』、『ZR-V』との価格差が大きく、ユーザーにとって手が届きにくい印象だ。PHEVの機能と併せ持つFCEVだが、高価格と少量生産がネックであった。

今回のCR-V e:HEV日本仕様の登場により、『トヨタRAV4』、『マツダCX-60/80』、『日産エクストトレイル』、『三菱アウトランダー』というハイブリッドが主役である国内SUV市場にCR-Vが遅ればせながら参戦することになる。

ホンダ国内ディーラーにとっては、ホンダSUVの顧客がステップアップできるモデルが出てきたことでホッとひと息だろう。近年、SUVの上級思想が高まり新車価格が上昇するも、他ブランドでは着実に販売を伸ばす状況を遠くから眺めていたからだ。

次世代e:HEVへの架け橋

それにしてもなぜ、北米導入から3年以上遅れのタイミングでCR-V e:HEVを国内に導入するのか。

前述のように販売店からの要望があることが前提だが、ホンダの次世代技術ロードマップを俯瞰すると、CR-V e:HEVは『次世代に向けたかけ橋』のひとつだと言える。

ホンダCR-V e:HEVプロトタイプ
ホンダCR-V e:HEVプロトタイプ    本田技研工業

ホンダは昨年後半から、次世代e:HEV技術の情報公開に積極的だ。2040年に四輪グローバル販売100%をEVまたはFCEVにするという中長期戦略を維持するも、欧米でのEVシフト鈍化を踏まえてe:HEV関連戦略の変更を余儀なくされている。

次世代e:HEVについては、グローバル市場におけるBセグメント(小型車)と、C/Dセグメント(中型車)それぞれで新技術を導入すると発表している。

そうした技術について、筆者は次世代小型e:HEVシステム搭載のヴェゼルで仮装したテスト車を栃木県内のホンダ関連施設で試乗。そのほかCR-Vが属する次世代中型e:HEVについては、抜本的な車体構造改良について技術説明を受けている。

時間軸で見ると同システムを搭載する小型車が先に市場導入され、同じく中型車がそれを追いかけるかたちになるだろう。

そうした次世代e:HEVへの移行期において、北米市場での導入実績がある現行e:HEVを、国内向けにブラッシュアップさせる戦略だと推測される。

CR-V e:HEV日本仕様はこの冬に導入。ジャパンモビリティショー2025では日本市場専用の『RSブラック・エディション』と展示する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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