新時代は人気SUVから BMW iX3 50に初試乗 技術は飛躍的な進歩 UK編の第一印象は?

公開 : 2025.12.11 18:05

新開発プラットフォームに好印象なボディをまとう、新型iX3 ガラス付け根に広がるワイドモニター 飛躍的な技術の進歩を感じる走り 低く軽いモデルの登場が待ち遠しい UK編集部が初試乗

新開発プラットフォームに好印象なボディ

AUTOCARの読者なら、新しいノイエクラッセ・シリーズの重要性はご存知だろう。新開発のプラットフォームは、2028年までに登場する、6種の次期モデルの基礎骨格をなす予定。その先鋒を担うのが、歴代人気を集めてきた中型SUVで、EV版のiX3だ。

開発者が傑作だと主張する次世代BMWの仕上りを、遂に確かめる時が来た。第一印象は、ブランドらしい特徴が感じられ上々。英国では、5万8755ポンド(約1199万円)からのお値段で、2026年3月に納車が始まる。

BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ・プロ(欧州仕様)
BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ・プロ(欧州仕様)

このiX3が採用するプラットフォームは、従来のモデルと異なり、バッテリーEV専用設計。フロアに敷かれる駆動用バッテリーは108.7kWhの容量があり、円筒形のセルで、エネルギー密度は20%向上したという。航続距離は、804kmが主張される。

ボディサイズは、全長が4782mm、全幅1895mm、全高1635mmと、先代から僅かに拡大。締まりのある面構成で、キドニーグリルは縦に長く控えめ。その輪郭は、ライトオンで光る。近年のBMWの中では、かなり印象の良い容姿だと筆者は思う。

ガラス付け根に広がるワイドなモニター

インテリアでまず触れるべきは、フロントガラスの付け根に広がるワイドなモニター、パノラミックiドライブ。ドライバーの正面に、メーター用モニターは存在しない。表示位置が高く、奥まっていて、視認性は優れる。

フロア面は高めで、ステアリングホイールの位置はやや低め。従来のように低く収まった運転姿勢ではなく、残念に感じる人はいらっしゃるはず。

BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ・プロ(欧州仕様)
BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ・プロ(欧州仕様)

内装のデザインはミニマルな仕上りで、ハードスイッチは最小限。だが、ドアのアームレスト側にはパワーウインドウとドアミラーのスイッチがある。エアコンの送風位置などは、巨大なタッチモニターで変更する。画面の割に、文字サイズが小さいと感じた。

表面の素材からは、コスト削減の影響を感じがち。ハードな樹脂製パネルがチラホラ。それでも、上質で開放的、現代的な全体の雰囲気が好ましい。後席側や荷室空間は、このクラスでは広い側にあるといえる。

技術の飛躍的な進歩を感じさせる走り

試乗したのは、ツインモーターのiX3 50 xドライブ。前に167psの非同期ユニットを、後ろに326psの同期ユニットを積む四輪駆動となる。後輪駆動へ近い特性を得るため、パワーの差が2倍近くある点が興味深い。

減速の98%は、回生ブレーキで賄われるとのこと。僅か数ミリ秒という電光石火で制御でき、直感的で予想しやすい特性を与えたと主張される。実際、その通りだと感じた。技術の飛躍的な進歩を感じさせる。

BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ・プロ(欧州仕様)
BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ・プロ(欧州仕様)

サスペンションは前がストラット式で、リアがマルチリンク式。ダンパーはアダプティブではなく、コストとエネルギー消費を抑えている。車重は2285kgあるが、重いコンポーネントは車両中央の低い位置にあり、前後の重量配分は50:50がうたわれる。

乗り心地は快適でありつつ、姿勢制御には締まりがあり、実に巧妙。ステアリングは非常に滑らかで、手応えが濃く、重み付けも丁度いい。ドライブモード次第で、アクセルペダルの反応は明確に変化。僅かにだが、路面からの感触も変わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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