洗練度が光る1.5L HV登場 メルセデス・ベンツCLA ハイブリッド  あえて選ぶ理由は小さい?

公開 : 2025.12.12 18:05

最新CLAに1.5Lハイブリッド登場 全面に渡る3面構成のスーパースクリーン 洗練度が光るパワートレイン 高負荷時はやや力不足 穏やかな普段使いを重視したシャシー UK編集部が初試乗

2種のパワートレインを想定したシャシー

驚異的な性能のパワートレインを得た、バッテリーEV版の最新CLA。だが、電動化へ懐疑的な人も多い。それを見越して、メルセデス・ベンツはハイブリッド版を用意した。

その構成は、1.5Lガソリンエンジンと、8速ATに内蔵された電気モーター。四輪駆動で最高出力163psのCLA 200と183psの220の下に、前輪駆動の180も設定される。

メルセデス・ベンツCLA 220 4マティック・ハイブリッド(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLA 220 4マティック・ハイブリッド(欧州仕様)

新世代CLAが基礎骨格とするMMAプラットフォームは、初めから2種類のパワートレインを想定し開発された。パッケージング上の妥協は、最小限に抑えられているという。成長した流麗なボディも基本的に共通で、サイズはBMW 3シリーズへ接近している。

フロントマスクは、滑らかなラインで結ばれたヘッドライトが特徴的。フロントグリルには、スリーポインテッドスターが散りばめられている。当然だが、ボンネットを開くと現れるのは、収納空間ではなくエンジンだ。

全面に渡る3面構成のスーパースクリーン

インテリアもEV版に準じる。ダッシュボードには、ほぼ全面に渡る3面構成のスーパースクリーン。実際に押せるハードスイッチは、殆ど残されていない。そのかわり、音声アシスタントの理解力は優秀。実際に使える機能だ。

助手席側にも14インチのタッチモニターが配され、多様なアプリを実行可能。それでも、さほど必要性を感じなかったことも本音ではある。単調な景色に飽きたら、メルセデス・ベンツが用意したゲームを楽しめるが、ドライバーから煙たがられるかも。

メルセデス・ベンツCLA 220 4マティック・ハイブリッド(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLA 220 4マティック・ハイブリッド(欧州仕様)

内装の素材には、もう少し高級感があって良いだろう。シートは調整域が広く、座り心地は素晴らしい。空間は、同クラスとしては広い側にある。

洗練度が光るHV 高負荷時はやや力不足

1.5Lエンジンは、3気筒より滑らかに回る4気筒。その選択が正解だったことは、普段使いの洗練度に現れている。駆動用モーターは30psを発揮し、エンジンへのバトンタッチはとてもシームレス。聞こえるノイズも、僅かに高まる程度でしかない。

低速域でのアクセルレスポンスは、エンジンでもモーターでも概ね変わらない。滑らかに求めたパワーが発揮され、上昇も線形的。ペダルを戻しても、不自然な仕草はない。

メルセデス・ベンツCLA 220 4マティック・ハイブリッド(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLA 220 4マティック・ハイブリッド(欧州仕様)

他方、163psのCLA 200は高負荷時にやや力不足。高速道路の合流や急な坂ではもたつきがちで、高めの回転域が必要になる。エンジンから張り詰めたノイズが耳へ届き、上質さを霞めてしまう。セレクターを傾け、手動で8速ATのギアを選べば改善できるが。

CLA 220は、上乗せされる20psを実感できる。それでも、ブランドらしい余裕までは感じにくい。技術者によると、エンジンはパワーアップの余地があるそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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