米国で不評だったV8ディーゼル 物議を醸したエンジン 30選(中編) 「速すぎる」と言われたスポーツセダンも

公開 : 2026.10.09 11:45

優れた性能を発揮するエンジンでも、何らかの弱点があったり登場時期が早すぎたりと、さまざまな理由から議論の的になることがあります。今回は古今東西、物議を醸した自動車用エンジンを30台紹介します。

フォード6.0パワーストローク

ナビスター社が設計し、2003年モデルで初めて採用された6.0LターボディーゼルV8エンジン「パワーストローク」は、フォードにとって極めてコストのかかるものとなった。ある従業員によると、同エンジンの生産台数はフォードのエンジン生産全体のわずか10%に過ぎなかったが、エンジン関連の保証支払い額の約80%、そして全不具合を合わせた保証支払い額の約25%を占めていたという。

フォードは一連の集団訴訟や個別の裁判において、トラックのスーパー・デューティ(写真)、バンのエコノライン、SUVのエクスカージョンの顧客への補償により、さらに多額の損失を被った。

フォード6.0パワーストローク
フォード6.0パワーストローク

フォードCVH

CVHは、油圧リフターと半球形燃焼室を備えた4気筒エンジンであり、エスコート(写真:1981年式XR3)などの欧州向けモデルで長年採用されていたケントエンジンの後継として開発された。排気量は1.1~2.0Lのラインナップが用意された。

著名なケントエンジンの初登場から21年後の1980年に導入されたものの、CVHは快適性・洗練性の点でほとんど進歩が見られず、かつてはムーリネックス(家電ブランド)のフードミキサーと比べられて酷評されたこともある。1992年に登場した16バルブのゼテック(旧称ゼータ)エンジンファミリーははるかに優秀で、フォードの本気を垣間見せた。

フォードCVH
フォードCVH

フォード・エセックスV4

1960年代、英国フォードおよびドイツ・フォードはともにV4ガソリンエンジンを導入したが、このV型4気筒というレイアウトはその後、自動車業界から姿を消した。英国ではエセックスという名称で知られ、商用車のトランジットではまずまずの性能を発揮したが、1965年にコルセア(写真)に搭載された際、以前のケントエンジンより騒音がひどく燃費も悪くなったという不満が寄せられ、(フロント荷重の増加により)ハンドリングも良くなかった。

それにもかかわらず、フォードは1970年代半ばまで乗用車にV4エンジンを採用し続け、カプリ、コンサル、ゼファーに搭載した。しかし、当然のことながら、最も長く使われたのはトランジットである。

フォード・エセックスV4
フォード・エセックスV4

フォード・ウィンザー255

「255」は、名高きウィンザーエンジンにとって、シボレーのスモールブロックにおける267と同じような存在だった。1980年頃に燃費向上のために開発され、本来は素晴らしいエンジンであるにもかかわらず、期待外れに終わってしまった。

性能を気にせず、どうしてもV8エンジンが欲しいという人でない限り、魅力的とは言い難かった。特にマスタング(写真)では、出力はわずか120ps程度にとどまるなど失望を招いた。1990年代初頭には、フィエスタでさえもそれ以上の出力を得ることができたのだ。

フォード・ウィンザー255
フォード・ウィンザー255

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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