アメリカ車の象徴 ゼネラルモーターズが生産した全V8エンジン(前編) 100年以上続く栄光と苦難の歴史を振り返る

公開 : 2026.03.08 11:05

クルマ好きの心を揺さぶるV型8気筒の鼓動。本特集では米国を代表する自動車会社の1つ、ゼネラルモーターズがこれまで生産してきたすべてのV8エンジンを紹介しつつ、その栄光と苦難の歴史を振り返ります。

GM製V8エンジンの歴史

どんなクルマがお好きであろうと、V8エンジンのサウンドには胸が高鳴るのではないだろうか。

電動化が進む中、現在も新型が開発されているとはいえ、今後こうしたエンジンは数を減らしていくだろう。しかし、最後のV8が生産終了しても、過去の傑作を振り返ることはできる。

ゼネラルモーターズがこれまで生産してきたV8エンジンの歴史を振り返る。
ゼネラルモーターズがこれまで生産してきたV8エンジンの歴史を振り返る。

ゼネラルモーターズ(GM)のV8エンジンの歴史は長く、100年以上にわたる。時折ムラもあるが、優れたパワーユニットを数多く生産してきた。今回は時系列順にその歴史を見ていこう。

キャデラック Lヘッド(1914年)

1914年当時、V8エンジンは珍しかったものの、まったく存在しなかったわけではない。しかし、この年のキャデラックのエンジンは量産化された最初のV8とされている。公式名称は『タイプ51』だが、一般には単に「キャデラックV8」として知られた。数度の改良と排気量拡大を経て、登場から20年後もなお使用されていた。

幸いなことに、キャデラックは直前に電気式スターターを開発していた。重いV8エンジンを手動クランクで始動させるのは、所有者にとって悪夢だっただろう。

キャデラック Lヘッド(1914年)
キャデラック Lヘッド(1914年)

写真:キャデラック・タイプ53 ピックアップ

コール・ノースウェイ(1915年)

1909年、ノースウェイ・モーター・アンド・マニュファクチャリング社は、ゼネラルモーターズに買収された数多の企業の中でも、特に早い時期に買収された1社だ。その後、同社はGM傘下ブランド向けにエンジンを生産するメーカーとなった。

それだけではない。キャデラックV8登場からわずか1年後、ノースウェイ社はインディアナポリス拠点のコール社に対し、キャデラックのライバルとなる高級モデル向けに同種のエンジンの供給を開始した。GM傘下企業が競合他社にエンジンを供給する事例は稀ではあるが、まったくなかったわけではない。

コール・ノースウェイ(1915年)
コール・ノースウェイ(1915年)

写真:コール・エアロエイト

オールズモビル・ライトエイト(1916年)

ノースウェイ社はオールズモビル初のV8エンジンも開発した。4.0LのこのエンジンはキャデラックV8と設計が類似しており、最高出力40psを発生する。オールズモビル・ライトエイトの初代および2代目(モデル名44から46)に搭載された。

写真:オールズモビル・ライトエイト・モデル45 ツーリング

オールズモビル・ライトエイト(1916年)
オールズモビル・ライトエイト(1916年)

オークランド・フラットヘッド(1916年)

さらに別のノースウェイ製V8エンジンが、複雑な経緯を経て、ポンティアックの前身とも言えるオークランド社に採用された。対象車種はモデル50。当然ながら、このエンジンはキャデラック、コール、オールズモビルが採用したノースウェイ製ユニットと幾分似通っていたが、6.0Lと大排気量化されていた。

オークランド・フラットヘッド(1916年)
オークランド・フラットヘッド(1916年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

ゼネラルモーターズが生産した全V8エンジンの前後関係

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