BMW、電動版『M3』プロトタイプ公開 開発中ガソリン版の「天敵」 Mモデルは累計100万台達成

公開 : 2026.10.07 07:25

BMWは、高性能のMモデルの生産が累計100万台を達成したと発表しました。その中で、EVとなる新型『M3』のプロトタイプも一部公開。4モーターパワートレインを搭載し、開発中ガソリン版M3の「天敵」とされています。

コンセプトよりやや控えめな仕上がりに

BMWは、来年発売予定のEV版『M3』のプロトタイプを公開した。今年6月に披露された『Mコンセプト・ノイエ・クラッセ』とよく似ており、デザインを忠実に踏襲しているようだ。

ル・マン24時間耐久レーサーにインスパイアされた補助ライトや、ヨットを彷彿とさせる分割式バンパーなど、コンセプトカーから引き継がれた主要なデザイン要素が確認できる。ただし、フロントスプリッターやリアディフューザーは小型化され、全体的に控えめな仕上がりとなっている。

EV版M3のプロトタイプ
EV版M3のプロトタイプ    BMW

BMWは仕様詳細をまだ公式には発表していないが、歴代Mモデルの累計生産台数100万台達成を記念する声明の中で、新型M3がミュンヘンで生産されることを明らかにした。

BMW M部門の責任者フランク・ファン・ミール氏は以前、AUTOCARの取材に対し、4モーターのパワートレインを搭載することを認めたが、「出力を路面に伝えきれない」という理由で出力を過度に追求しないとも付け加えた。

EV版はガソリン車の「天敵」

ファン・ミール氏によれば、BMWはEV版M3という「天敵」を自ら生み出してしまったという。顧客はEVの優れたドライビング・ダイナミクスに惹かれて、従来のガソリン車から乗り換えるだろうと見込んでいるのだ。

このEVはガソリンエンジンを搭載した新型M3と並行して販売される予定だ。そのターボチャージャー付き3.0L直列6気筒エンジンは、現行モデルの出力(510ps)を維持したままユーロ7排出ガス規制を満たすよう改良される。

EV版M3のプロトタイプ
EV版M3のプロトタイプ    BMW

7月に英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでAUTOCARの取材に応じたファン・ミール氏は、次のように語っていた。

「今、BMW Mは自分たち自身と戦っています。なぜなら、フル電動M3によって、自社のベストセラー製品に挑んでいるからです。次世代の(ガソリンエンジン搭載)M3の開発も進めていますが、今は社内で激しく競い合っています。2つの異なるパワートレインで切磋琢磨しており、素晴らしい競争です」

鍵となるのは4モーターのパワートレインだ。しかし、単に出力やトルクを極限まで追求するのではなく、走行安定性と俊敏性を高め、運転の没入感をさらに高めることを目指している。

パワーばかり追求しても意味がない

「単にパワーを増やすことは重要ではありません。結局のところ、そのパワーをすべて路面に伝えることなどできないからです。すべての車輪に十分なパワーが必要なため4基の電気モーターを採用していますが、同時にフル稼働させることはないでしょう」とファン・ミール氏は述べた。

ターゲットとする顧客層は、EV版とガソリン版で同じだという。

EV版M3のプロトタイプ
EV版M3のプロトタイプ    BMW

「エンジン音や外観が好き、あるいは自宅で充電できないという理由で内燃機関車を選ぶというお客様もいらっしゃるでしょう。それはまったく問題ありません。レースやドライビング・ダイナミクスにこだわるなら、EVを好まれるかもしれません」

EV版M3は「疑似シフトチェンジ機能」を搭載する予定だが、ファン・ミール氏によると「合成エンジン音」は採用されないという。

「M5の高回転V10エンジン、M3の高回転V8エンジン、さらにはE30の4気筒エンジンなど、あらゆる種類のサウンドを試しました。しかし、どのサウンドもその特定のクルマでしか意味を成さないものでした。別のクルマにそのサウンドを当てはめようとしても、フィーリングが合わないのです」

そのため、BMWはエンジン音ではなく、電気モーターから着想を得た新しいサウンドを開発している。ただし、ファン・ミール氏は「SF映画の宇宙船のような音ではクルマとの一体感が失われてしまうため、よくない」とも述べている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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