E46型BMW M3の幻ボディが現実に レストモッドと呼ぶのは正しくない ペトロイル・ツーリング、限定50台で約2800万円から

公開 : 2026.08.25 18:05

量産されなかったE46型BMW M3のツーリングを、ペトロイル社が50台の限定で見事に再現しました。多くのレストモッド例より安く、期待通りの走りでこの上ない充足感があるようです。UK編集部がレポートします。

量産に至らなかったE46型M3のツーリング

BMWは2000年発売のE46型M3で、ステーションワゴンのツーリングを提供しなかった。同年にコンセプトカーは発表されているが、量産には至らなかった。それから四半世紀を挟んだ今、現実のものとして筆者の前に姿を表した。

レストモッドと呼ぶのは、正しくない。メカニズム上はアップデートされておらず、M3そのままだから。これは、グレートブリテン島南部のオックスフォードシャー州に拠点を置くレストアガレージ、ペトロイル・レストレーションズ社の最新作となる。

ペトロイル・ツーリング(英国仕様)
ペトロイル・ツーリング(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

レシピは、文章の上ではシンプル。まず、状態の良いE46型3シリーズ・ツーリングのボディシェルを用意する。流通量は少なくないが、酷い状態の例も多いらしい。

次に、良好なM3のドライブトレインを探す。ボディの状態は問わず、走り込まれたコンバーチブルなどが望ましいとか。ただし、これを合体しただけでは完成しない。

通常の3シリーズをカーボン製ボディでM3化

ツーリングの荷室下には、スペアタイヤ用の凹みがある。これは、M3用マフラーを組むのに邪魔になるため切り取られ、カーボン製パネルがはめられる。

M3の18インチ・ホイールとトレッドへ対応させるため、ホイールアーチの膨らんだフロントフェンダーに加えて、リアバンパーとサイドシルは、カーボンで新規に作られる。ルーフパネルやフロントバンパーも、カーボン製がお好みなら応じてくれる。

ペトロイル・ツーリング(英国仕様)
ペトロイル・ツーリング(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

リアのクオーターパネルは大きな1枚もののスチール製なため、肉付きの良いホイールアーチが溶接される。リアドアは、標準のまま。仮にBMWが量産を決めたとして、フェンダーラインに合わせて後端を処理したなら、新たな金型が必要になっただろう。

そして、ドライブトレインが移植される。プロの手にかかれば、警告灯が点きっぱなしになるようなことはない。E46型の弱点といえた、リアアクスルを支えるパネル部分も強化される。かくして、幻のE46型M3 ツーリングは完成する。

多くのレストモッド・モデルより大幅に安価

このペトロイル・ツーリングは50台が生産予定で、英国価格は13万ポンド(約2795万円)から。もし興味をお持ちなら、早めにご連絡された方が良い。予定を超える注文が集まるだろうと、同社の代表は考えているからだ。

25年前のBMWへ、最新のM3 ツーリング以上の金額と聞くと、高すぎるように思えなくはない。それでも、素晴らしいアイデアを少量ながら実現した事例として、多くのレストモッド・モデルより大幅に安価といえる。

ペトロイル・ツーリング(英国仕様)
ペトロイル・ツーリング(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

筆者は、つい最近までE46型3シリーズのクーペに乗っていた。この時代のインテリアやサイズ感は、非常に好ましいものだと理解している。運転姿勢は素晴らしく、視界は全方位で良好。最近の高性能なBMWと比べれば、小柄で扱いやすい。

かといって、古臭さはない。E46型3シリーズは、現代でも問題なく実用に耐える。しかも試乗車の内装は、デモ車両として、素晴らしい手仕事で仕立てられていた。注文者の希望へ応じて、パーソナライゼーションにも応えてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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