「オーバーステア傾向にしたい」 アウディRS5 サルーン(1) 遊星ギアで叶えたトルクベクタリング 先代RS4譲りのV6ツインターボと176psモーター

公開 : 2026.09.23 18:05

先代RS4譲りのV6ツインターボと176psモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドとなった、アウディRS5をUK編集部が試乗します。遊星ギアを用いたトルクベクタリング・リアデフに注目です。

遊星ギアを用いたダイナミックトルク・コントロール

アウディのRSモデルと聞いて、アンダーステアやフィーリングの薄い操舵感を想像する人はいらっしゃるかもしれない。だが2006年のRS4は、既に優れた旋回性を得ていた。以降の操縦性を、AUTOCARは高く評価してきた。

それでも、メルセデスAMGBMW Mへ並ぶドライバーズカーの提供が可能だと深く認知させるべく、アウディの技術者は今も尽力を続ける。新しいRS5の開発責任者、シュテフェン・バンベルガー氏は「オーバーステア傾向にしたいと考えました」と認める。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
アウディRS5 サルーン(英国仕様)

新しいRS5で最大のトピックが、それを叶える、トルクベクタリング・リアデフ。電気モーターで中央のサンギアを制御し、ギア比を変えられる特性を持つ、遊星ギア機構が採用されている。トヨタのハイブリッドでは、e-CVTに組み込まれている。

この「ダイナミックトルク・コントロール」は、一方のタイヤへ他方より多くのトルクを伝えるべく、左右のドライブシャフト間のギア比を遊星ギアで調整。RS3のようなクラッチ式デフより高速に処理でき、大きなトルクにも耐えられるという。

V6ツインターボと8速ATの間に176psのモーター

2.9L V6ツインターボエンジンは、基本的に先代のRS4譲り。ZF社製8速ATとの間には、176psの電気モーターが実装される。デュアルクラッチではないのは、総合639psの最高出力を受け止めきれないからだろう。

この大パワーは、トルセン式センターデフを介して四輪へ伝えられ、純粋な後輪駆動状態にはならない。駆動用バッテリーは荷室のフロア下で、通常のA5 E-ハイブリッドより僅かに容量は増え、22.0kWhある。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
アウディRS5 サルーン(英国仕様)

サスペンションは、コイルスプリングとツインバルブ・アダプティブダンパーのペアで、ステアリングは可変レシオ。タイヤは前後同一サイズだが、ホイールは後ろが0.5J広く、サイドウォール剛性を高めている。車重は2408kgで、重量配分は51:49だ。

リアドアまで専用デザインの凛々しい見た目

このワイドなホイールと、筋肉質に張り出したフェンダーラインで、容姿は非常に凛々しい。主張は控えめな方が良いという読者は多いと思うが、存在感は半端ない。

ボディスタイルは、ステーションワゴンのアバントと、試乗したリフトバックのサルーンという2種類。後者は優雅な佇まいながら、前者の方が支持率は高いと予想できる。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
アウディRS5 サルーン(英国仕様)

注目したいのが、リアフェンダーのライン。BMW M3では、リアドアは通常の3シリーズと同じだが、RS5ではしっかり専用デザインになる。サルーンとアバントでも異なるため、利益を圧迫しそうだが、特別感は間違いない。給油リッドも専用品になる。

フロントグリルを覗けば、ラジエター類がぎっしり。エンジンルームのカバーを外せば、アウディの伝統通り、後方寄りへV6エンジンが収まる様子を観察できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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